基本的にはそう考えていますが、時に2台で走ったり、グループで走ったりするのも、とても楽しいものです。
旅も、一人旅と、誰とであれ、複数で旅をするのとでは、決定的な違いがあるでしょう。
バイクツーリングもそうだと思います。
複数で走るツーリングには、一人で走るのでは得られない魅力があります。
と、同時に、独りで走る精神性、旅の、旅たる所以は、失われてしまします。
どちらも魅力的。
今日は、複数で走るときの醍醐味の一つ(?)、「追い越されのフォーメーション」のお話です。
何台かのグループツーリングの時の隊列としてよく採用される千鳥(チドリ)走行。
直前、直後のバイクと斜めになるように、車線の右側、左側と交互にポジションどりをします。
これは、直後にまっすぐ並ぶのと比較して、
1 前走者のミラーに相手が映りやすい。
…というよりも前走者のミラーを見て、相手の顔が写っているポジションで走る…そうすれば自分は相手のミラーに映っている。
2 斜めになっていれば自分のまっすぐ前は2台先のバイクになるので、安全な車間距離を確保しつつ、隊列全体の長さが抑えられる。
3 千鳥隊列とすることでバイク隊列に横幅ができ、車に存在をアピールしやすい。具体的には無理な幅寄せを食らいにくい。
など、さまざまな利点があります。
写真は2009年秋のツーリング。
秋の北海道を4台でゆっくり走る、「ハーベストクルーズ」ツーリングの最中です。
郊外の国道を走っていたら、後方から速い4輪が追い付いてきました。
そこで自然と発生した「追い抜かせのフォーメーション」
当時のブログの記事より、引用します。
以下、「ハーベスト・クルーズ(2)」より、引用です。
気温はさらに下がり、紅葉は終わりかけ、秋枯れになりかけた山々の景色が迫る。
ここでも速度を押さえ気味に、4台で走っていると、後ろからかなり速い四輪が追いついてきた。
打ち合わせをしたわけではないのだが、しんがりはまささんが勤めてくれている。
直線では車間を空けた千鳥隊列を組んで走っている我々は、
私のGPZが右、次のkaoriさんのZⅡが左、さんにーさんのFZRが右、しんがりまささんのNinjaが左、のフォーメーションだったのだが、ここでまささんが右気味に進路を変更、後ろの車へのストッパーになって前の3台を守ってくれている。
しかし、たとえこちらが交通法規上に理があるとしても、空いた郊外の気持ちのいい道で、いつまでもフタをするのは、大人のライダーとして気持ちのいいことではない。
状況を見て、見晴らしのいい直線部分で、先頭の私が左により、車を流すことにした。
何の打ち合わせもしていないのに、さんにーさんも反応、左に寄り、それを確認したまささんが左によって車線を広く開け、後ろの四輪に道を譲る。
四輪はきれいに加速し、我々の横を抜けていく。
抜かれざまに見ると、シルビアだった。
シルビアはお礼のハザードを2回点滅させて、加速して消えていった。
きれいな抜かれ方は、抜かれた方も気持ちいい。
なんの打ち合わせもなく、サインもなく、追い抜かせのフォーメーションが一発で決まった。
これも、楽しい。
以心伝心の走りの妙味。
思わずにやりとしてしまう瞬間だ。
今思い出してみると、この時のメンバー、相当に「速い」人たちだったのでした。
私が先頭で、その日は徹頭徹尾、ゆっくり走ったのです。
バイクでのツーリングは、バイクならではの機動力を生かしたものにしたいもの。
しかし、例えば、写真のような黄色ラインの国道では、あまり騒々しい走りは控えたいところでもあります。
いつでも、何が何でもスロー一辺倒…というのでは、バイクに乗っている感じがしない。でも、速くはしることを強いられるような状態は危険だし、面白くもない。
場合によって、使い分けていきたいものだと思います。
さて、上記のフォーメーション。
記事にあるように、何の打ち合わせもなく、また、追い越させることもある…とは想定もしていない状況での一発以心伝心コミュニケーションでした。
いや、以心伝心と言っても、その動きの中にサインが込められているのです。
それを相手の発進と受け止められるかどうか。また、相手が受け取ってくれると信じて、サインを出せるかどうか、そのあたりは、一緒に走っての「感覚」だけが頼りです。
今回のメンバーは、2輪のベテランと、2輪は当時初心者でも4輪ではラリードライブ並の技術を持つ人の集まり。つまり、後ろから迫ってきている4輪の気持ちや、オーラが感じ取れる人ばかりでした。
我々は今、気色を見ながらのんびりゆっくり流している。しかし。空いた道、ハイスピードで山道を走り抜けたいシルビアの気持ちはよく分かる。で、あれば、安全で適当な場所を見つけて、早く道を譲り、前へ出そう…、と、ペースは違っても、互いを認め合う路上のコミュニケーション。
バイクでも今は無線がかなり使えるようになってきましたが、私たちはその装備もなく、言語のコミュニケーションが互いにできない状態。それでも、互いの走りの様子や、呼吸感を読み取って、一発で決める追い越されのフォーメーション。
とても気持ちのいい瞬間でした。
また、そうしたことが、打ち合わせなしに共有できる仲間と出会えたことに、感謝した一日でした。
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