2014年7月11日

空と雲と風と。(3)

全然「空と雲と風と」らしくない、ツーリングレポートですが、もう少お待ちを。今日はV7でワインディングをハイペースで走ったらどうなるか、というお話です。
沼田町から道道867号線を北上。蛍の里を越え、ポロピリ湖を過ぎ、達布峠を越えて小平(オビラ)川沿いの道道128号線に出る。そこから道道742号線を霧平峠を越えて国道239号線へ。
この間はほとんど車通りのない、ガラ空きのワインディングだ。
国道239号線は路面状況もよく、しかもこれも交通量が殆んどない。ガラガラの道で、民家もほとんどない、無人地帯に近い道を走る道だ。
霧立峠を越えて国道275号線と合流し、朱鞠内湖まで。
約80kmのノンストップワインディングロードである。




安全に注意し、マージンを大きくとりながら、ゆきかぜを走らせた。
前回記事よりは高速寄りの走行だ。


路面はさっきよりは波打っていないが、一般的な県道の感じ。時々バンプがある。
速度を上げての旋回中に波打った部分を通過すると、フレームがしなる。
さらに速度を上げていくと、コーナリング中、ギャップを越えた時にゆらゆらとフレームが揺れる。
周期は1秒間に2回くらいで、エンジンを中心にフレームがしなっている感じで揺れる。振幅は結構あって、はっきりと揺れを感じるが、揺れ方が穏やかですぐに収まるので怖くはない。
フロントが震えたり、グリップが落ちたり、ハンドルが激しく振られることはない。
しかし、このあたりの運動エネルギーがそろそろ安全に走れる限界値だと教えてくれる感じの揺れだ。


この揺れは、ハンドルが降られるのとは違って、全身が揺れ出すので、腕で押さえ込まないことが大切だ。無理にハンドルの揺れを押さえ込もうとすると、フレームの揺れが収まらなくなってしまう。

この揺れが来るころには相応のペースなので、これ以上のペースアップは通常やめておく方がいいだろう。それでも、競争しないのなら、十分速いし、満足できるパフォーマンスだ。

パワーバンドの広い出力特性のエンジンだが、速く走ろうと思うのなら、5000rpm~7000rpmの間を常用した方がいい。
最高出力は6200rpmで出るので、6500rpmくらいまでを目安として、そこから上は保険として取っておくといいと思った。体感的には6200を過ぎてもパワーダウンは感じない。むしろ、7000rpmを越えて回りたがるのをリミッターに止められている感じがする。
5000rpmから7000rpmは直線的に吹け上がっていく。マルチエンジンのような、パワーの爆発感はない。

脱出加速でフルパワーをかけても50ps。
かなり速いが、いきなりタイヤがブレークすることはなかった。タイヤのグリップ力はかなり高いので、状況によるが、パワーバンドでの全開は十分に許容する。
速度が高くなるほどに、リヤステアを意識し、後輪乗りに徹した方が、安心して、安定して、しかもシャープに走って行ける。

霧立峠のあたりは路面状況もよく、あまり路面が波打っていない。
すると、かなりの速度で旋回しても、フレームの揺れはおこらない。
平滑な路面なら、フレームがゆらゆら揺れることもなく、安定して、自信を持って旋回していけるのだ。
パワーバンドで全開にしても、強烈に旋回加速しながら、インへ、インへと向きを変えつつ、速度を上げていくことが可能だ。

高回転域のライダーに届く音は、ビイイイイイイ…という連続音になる。

細いタイヤはライダーにそれほど大きなアクションを要求しない。
リーンウィズでお尻もまったく動かさないまま、切れ味よく操るのが最もかっこよいのだろうが、僕の場合、少し腰をずらした方が、高速コーナーでは安定して速く走れた。


今回はS字の切り替えしなどでのスパッというリーンの切り替えは試さなかった。
安全マージンをとりつつの走行なら、よほど先までよく見えているS字以外は、一度前のコーナーを脱出してから、改めて反対側に切り込んでいく走り方の方が、安全マージンが大きく、曲率が変わっていても対応ができるので、そうした乗り方になった。
























80kmを一気に走ったわけではない。
途中2回の休憩を入れた。
最初の休憩の時に見たタイヤのアブレージョンが、上の写真である。左が前輪、右が後輪。
タイヤの色は写真の写りもあってかなり違って見えるが、実際にはここまでの差ではないものの、フロントの方が若干青色がかっていた。
ライフが長いタイヤだけあって、タイヤ表面がが少しざらつくようなっているが、溶け落ちるような感じはない。
後輪の溝は、進行方向側の縁が少し角が落ちるように磨耗していた。

2014/7/8 10:15
思い切り走らせると、街乗り時やツーリングで流しているときには幅が広すぎるように感じたハンドルも、ちょうどいい感じだった。
後ろ気味に着座し、減速Gに下半身全体で耐えるときには、確かに前気味にあるステップは楽だが、トータルではやはり前過ぎる。ライダーの体重をシートから垂直方向に瞬時に抜きたいとき、ステップ位置が着座位置よりも前にあるために、入力がななめになってしまい。尻を垂直に上げられない。どうしても尻を斜め後ろに蹴り出すようになってしまい。それを押さえるためにハンドルに力を入れざるを得なくなるのだ。
流すにも、飛ばすにも、ステップ位置だけは少し後ろに引いた方がいいと思った。

さて、10時も15分ほど過ぎて、朱鞠内湖に到着した。
朱鞠内湖もまた、大きなダム湖だ。周囲の山の低いことからもわかるように、浅くて広く、貯水量の多いダムである。

2014/7/8  10:21
朱鞠内湖の陽射しはとても強かった。

ゆきかぜをベンチの側に停め、人車ともにクールダウン。
キン……、キン、キン……。というエンジンのフィンの鳴る音を聞きながら、缶コーヒーを飲んだ。

青空が広がっている。
晴れた日に特有の白い雲が浮かんで、朱鞠内湖畔はきれいで、静かで、長閑だった。

少し休憩しよう。
熱を冷まし、気持ちも体も、少し休んだら、また走ろう。
今日はまだ、行きたいところがあり、走りたい道がある。(つづく)

4 件のコメント:

  1. > ハンドルが降られるのとは違って、全身が揺れ出すので、腕で押さえ込まないことが大切だ。
    > 無理にハンドルの揺れを押さえ込もうとすると、フレームの揺れが・・・
    > この揺れが来るころには相応のペースなので、これ以上のペースアップは通常やめておく方がいいだろう。
    > それでも、競争しないのなら、十分速いし、満足できるパフォーマンスだ。

    まさに、「人馬一体」ですね!そうあるべきだと思います!

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    1. tkjさん、こんにちは。
      フレームが振られるというのは、自転車では経験していましたが、バイクではV7が初体験でした。
      しかし、これは計算されたものだと思いました。恐怖にかられることはなく、「もうそろそろやめておいてね」というバイクからのメッセージに受け取れたからです。
      そういう思想で作られたマシンなんだと思いました。
      「人馬一体」で乗れ。
      そういうマシンなのでしょう。そういう扱いを、楽しみながら学んでいきたいと思います。
      速度域はそろそろ上限でも、旋回効率はまだ上げられそうなので、そのあたりもとっても楽しみです。

      >フレームの揺れが…の……の部分、誤植になっていました。直しました。すみません。ありがとうございます。

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  2. 樹生さん☆おはようございます。
    いつもながら、全身センサーのような詳細なライディングのお話、楽しく拝見させて
    頂いてます(笑)
    V7ゆきかぜの性格も、だいぶ把握されてきたみたいで、楽しさが伝わってきます。
    やっぱり、MONZA500の性格はしっかり受け継いでるようですね。
    スポーツ車なんですよ、乗れば乗るほどね、私のツアラー車とはコンセプトが違う。
    イタリアの石畳の道をかっ飛ばす為、ルマンよりクイックに走り、楽しい走りをライダーに
    提供するラテンの熱い、性格が見えてきます。
    重要なのはサーキットで生まれた走りでは無く、コモ湖の畔ラーリオ村の付近で生まれた走りだと
    思います。
    何か上を電気的に抑えてるような気がします。確か、このエンジンはコーンと直線的に回ると
    昔の記事にかいてありましたから・・インジェクションの影響でしょうかね?!

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    1. いちさん、お早いですね。
      ライダースクラブビデオで「Enjoy your Riding」というのがあって、根本健氏と片山敬済氏がDB1でリミニの郊外を走りまくるシーンがありました。ビモータとモトグッチでは全然世界が違うようでいて、でも「ラテンの熱い走り」では共通するものがあるかもしれませんね。モトグッチはGPへも参戦していたメーカーですものね。

      エンジンは本来7000ではなく、もっともっと回るような気がしました。万一のことと耐久性を優先して、7000で点火カットしているのだと思います。唐突に効きます。まあ、でも、それでもいいか…と、思っています。

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