空と雲と風と。（１）

朝、４時半。
ベッドから起きてトイレへ行く。
連日のオーバーワークで、体は朝から重い。
それ以上に、心がやられている。

今日は日曜日の代休だ。

走ると決めていた。


天気予報を見て、行き先を決め、支度をして、ゆきかぜのカバーをはぐ。

タンクバッグには雨具、簡単な工具。カメラバッグと中にカメラ。ティシュ。ハンカチ。
身につけたヒップバッグには免許証、財布、替えのグローブ。古いコンパクトカメラ。

2014/7/8　６：０６　

ホントは３時に出発するつもりだった。
土日も働いて、昨日は１２時過ぎの就寝だった。
もう若くない。睡眠不足で長時間走行は危ない。
出発を遅らせて睡眠時間を確保した。
朝６時１０分。
家を出た。

2014/7/8　６：５４

札幌の街を抜ける。
朝６時でも、もう街は動いている。
出勤の車、配送のバントラックがひっきりなしに走る。

国道３３７から道道１１２号へ。当別町へ走って行く。
今日の天気予報、道北方面は曇り、晴れ。降水確率は１０％ほど。
朝は霧が出ている。
気温は１８度。それでもひんやり感じるのは、朝の道の車の流れが速いからだ。
街を抜けるとすぐに石狩平野の穀倉地帯を走る。

身体も心も、まだ重い。
ゆっくり、ほぐすように。
慎重に走る。

2014/7/8　7：10

当別町のセブンイレブンにやってきた。
北方向のツーリングで海沿いを行かない時はいつもここで最初の休憩にする。
家を出てちょうど１時間。
乗車の姿勢に馴染みをつけ、もう一度ほぐし、変な力みを取ること、ウェアなどの不具合があれば直すこと、体調が悪ければここで引き返すこと。
いろんなチェックをする、出発ベースキャンプのような場所だ。
今日は朝食を抜いてきたので、ブリトーと、僕は初めての、コップを買って１００円でコーヒーを淹れるタイプの飲み物。
セブンイレブンには申し訳ないが、それほど旨くはない。しかし、缶コーヒーよりはずっと旨い。
肩凝りは例によって起きたときからある。
頭痛にならなければよいが。軽く体操して、肩、首回りはいつものように念入りにほぐす。

当別町からは道道２８号線を北上する。
札幌近辺のライダーたちの定番コースの一つだ。

２０１４/７/８　　7：16

北海道の農の風景も変わりつつある。
水田も増えた。
今や、北海道米は安くておいしいお米のブランド品だ。
寒さに強い品種の開発、気候の温暖化、２つの相乗効果だと言われているらしいが、詳しいことは僕は知らない。
朝霧が少しずつ薄くなり、もう微かな靄のようになってきた。
畑の中の一本木は、昔、自分の畑の目印に植えた（または残した）ものが多いと聞く。
畑が田んぼになっても、大きな枝を四方に伸ばし、人の営みを見守っている。

2014/７/８　　7：32

 青山ダムのダム湖にかかる大きな橋。
僕はこのダムの完成前を知っている。美しい広い谷。
家もあった。
今は、湖になっている。
橋の上に駐車するのは本当はよくないのだが、平日のこの時間、交通量はほぼゼロ。
少しだけ、お邪魔した。
霧は晴れ、靄も消えて、青空が広がっていた。

2014/7/8　７：48

  青山のダム湖を抜けて少し北に行くと、厚田に向かう道道11号線との分岐に着く。
そこに駐車公園がある。写っている建物はトイレで、デザインモチーフはふくろうなんだそうだ。
この公園、トイレはきちんと管理されていてきれいだ。
でもその分、24時間使えるわけではない。開くのは朝9時。まだ少し早い。

 今日はここを左折せず、道道28号線をそのまま北上する。

さて、ここから少し、僕自身のライディングのリハビリと、ゆきかぜのワインディングでの振る舞いを探るテストランに入る。

今日は通らない道、道道11号は、路面も全般的にきれいで、テストにはうってつけの快走ロード。
ここを飛ばしに来る札幌圏のライダーも多い。

一方、今日走る道道28号線のここから先は、とにかく路面がうねり、バンピーな道だ。
ツーリングテストとしては、まずこちらから。
もちろん、万が一にも転倒は許されない。
でも、転倒や事故の可能性はいつもある。バイクはそういう乗り物だ。
絶対なんてない。

だから、慎重に、集中して、マージンを大きく。ゆっくり走ろう。
じゃあ、少し、走るか。　（つづく）