ゆきかぜおめざめ（下）

４月１２日。今日は午後から仕事。それも相当に高いストレスのかかる仕事だ。
朝、朝食の後、選挙に行き、その後、ゆきかぜを引っ張り出してエンジンを掛けた。
４か月ぶりのエンジンは、１秒ほどのクランキングであっさりかかった。
その後のアイドリングも安定している。
エンジンを掛ける前に、レバー、ペダル、クラッチワイヤー、ステップなど、可動域をチェック、給油しておいた。

ゆきかぜは問題なく目覚めた。


問題はむしろ、僕の方だ。
頸椎ヘルニアを患った首が、どれくらい耐えられるか、いったい乗れるのか。
ここのところ、リハビリが功をなしてか、だいぶ痛みは軽減されてきてはいたが、
実際に乗車してみなければわからない。

首回りはもちろん、念入りに防寒して体が冷えなようにして、家の前の坂道をゆきかぜに乗って降りて行った。

思ったよりも違和感なく、２年間走ったＶ７の感覚は、体が覚えていたようだ。

いつ首が痛くなるかわからないので、今日は遠出はできない。
近場をくるっと回ることにして、いつもの札幌市街地に隣接しているといっっていい峠を２つ、車列の後ろについてゆっくり廻った。
首と左半身は、少し違和感がある。しかし、痛みやしびれはない。
用心しながら、少し足を伸ばす。
札幌市南区、簾舞の方向へ。

久しぶりのバイクは、やはり気持ちいい。
条件反射のように、心が軽くなる。
やはり僕は、バイクと生きていくことが、とても好きなようだ。

ちょっとずつ、細胞が覚醒していくかのような気分を味わいながら、トコトコと、ゆっくり道を行く。
３つ目の小さな峠を越えると、残雪の山が見えた。
道には冬の間に撒いた滑り止めの砂が、一杯残っている。
ずるずるに滑るから用心が必要だ。

峠を下り、少し進む。
このあたりは果樹園が広がるところ。
南向きの斜面は陽当りもよく、地面の雪も消えている。
対岸のスキー場は、まだ雪が残っていた。

気温は１１℃。陽射しは暖かい。
ゆきかぜを降りて、少し体操をする。
まだ首は痛くならない。

いつもの場所に来た。
手前は水を落とした水田だ。
今年も何度か、この場所にお邪魔することになるだろう。
街を離れた解放感が、少し呼吸を楽にしている。
仕事のストレスが高すぎるのだ。
伸びをして、深呼吸する。
北海道の早春の硬質な空気。しかし、かすかに土の匂いが混じっている。

小金湯温泉の近くまできた。
ここでＵターン。帰ることにする。
正面遠くの岩山は烏帽子岳だ。
その下を、道道１号線が定山渓から朝里川まで走っている。

道端の猫柳がふわっとした芽をたくさん付けていた。
川の音も雪解けで大きくなり、春の息吹を感じる。

さあ、帰ろう。

帰り道。
道端でフキノトウが咲いていた。

今日は往復５０ｋｍ。
身体に違和感は少しある。
しかし、傷むことはなかった。

５０ｋｍ、乗ったり下りたりで１時間半ほどは走れることがわかった。
これなら、通勤にも使えるだろう。

来週から、コンディションのいい日は通勤に使って行こうと思う。

帰ってから、昨日やり残していたホイールの掃除をした。

上が前輪、下が後輪。
アルミのリムなのだが、冬に入る時のワックスがけがいいかげんだったせいか、白く点錆が浮いている。

マザーの「マグ＆アルミポリッシュ」をつけてこすり、乾いた布でふきあげていく。

３０分からいかかったが、だいぶ復活した。
点錆は１００％とれたわけではないので、これからもメンテは必要だ。

それでも、やっと、ゆきかぜで走ることができた。
まだ１日ツーリングはきついと思うが、リハビリを頑張りつつ、
徐々に時間を距離を伸ばせるようにしていきたい。

いろんなところへ行って、いろんな風景と出会いたい。

2015シーズンが、始まった。