2017年7月22日

直してもらいました。

「右後ろウィンカー付け根から取れてプラプラ」は、今日の午後、いつもお世話になっているズームさんへ行って、直してもらいました。

見事、元通り。

これ、単純な作業ではなくて、写真はありませんが、
中央のテールランプのハウジング、プラスチック(ABS樹脂)にメッキかけているのですが、これが結構薄手で、左右ウィンカーはこのボディにボルトとナットで止まっているのですが、このあたりの補強もなく、薄い地のままなのです。
ここのプラスチックが割れたためにウィンカーがプラプラになってしまった…というわけなのですが、テールランプを外し、ネジを緩めて、ウィンカーステーを分解してみると、ここのプラスチック、ただ割れたのではなく、いくつかの細かい破片になって、バラバラ状態だったのです。

うむ、これは難しいか…と思ったのですが、ズームさんは、ピンセットを取り出して、この破片を超細かなジグソーパズルを作るように、組み立て始めました。
そして、ABS樹脂同士の接着に特化したボンドを用いて、破片同士、そして元のボディと破片とを、接着。
さらに、ボルトとナットの締結の力が分散するように、元はなかったワッシャを、ウィンカーハウジングの形に合わせて万力で曲げ加工をしたうえで、噛ませ、もとのボルトナットで締結。

修理してくれました。

破片の一番小さいのは、2mm程度のもので、大きいものでも長さ10mm幅5mm程度のものでした、それをピンセットでもとの形を探り、接着していく、細密作業。

僕はもう老眼で破片の破断面の表情までは見切れないのですが、僕よりも15ほど年上のズームさんは、それをこなしてしまいました。

そして、このABS樹脂専用の接着剤を使用した場合、樹脂を溶かしながら接着してしまうので、完全にくっついて、また剥がれるということは皆無とのこと。

ズームさんは、こうした接着剤に関しても、自腹でいろんな接着剤を試し、その結果として最適、最強の組み合わせで、修理作業しているのです。

硬化時間が短いのも特徴で、一般的には4時間もあれば完全硬化するということ。
(コンディションによって時間差は生じます。)
なんと、そのまま乗って帰れました。

また、その修理工賃が驚くほど安くて、有難いやら、申し訳ないやらでした。

僕がお邪魔した時には、リフトにはカワサキZⅡがシリンダーヘッドのカムカバーが外された状態で載せられ、メンテ中でしたが、事前に連絡しておいたので、そちらの作業の手を停めて、対応してくれました。

テープでぐるぐる巻きにして、ズームさんまで走っていったのですが、ずっとそうするわけにもいかないし、ウィンカーが壊れたままでは走れないだろうということで、急ぎ、直してくれたのでした。

テールランプハウジング、注文して交換になるところ、補強しつつ、細密な作業で直してもらえて、本当に感謝です。


この写真、リヤ府フェンダーのナンバーの後ろに黒い点ができていますが、プラプラになったウィンカーモディがこすれて、塗装が剥げたのでした。

ちなみにこの赤、V7ではこの「ゆきかぜカラー」に1年間だけ使われたもので、国内ではなかなかというか、塗料としては手に入らない色だということです。



ズームさんによると、V11バラビオあたりに使われた色らしく(全く同じかどうかはわかりませんが)、ヨーロッパで使われる色だが、日本でこの色の入手は困難…とのことでした。

つまり、タンクに傷がいっても、簡単にタッチアップで直すことはできないということですね。

今回のこの位置はあまり目立たないので、よしとしましょう。
(…って、僕の不注意なんですけど(^^;)

それにしても、ズームさん、すごいなあ…。
今回はこの修理の合間に、ズームさんが自作した特殊工具も見せてもらいました。
安全確保と作業の正確さ、パーツを傷つけないこと、確実に早く作業することなどを目指し、どうしてもない工具は自作してしまう、その探求心と工具を設計、製作する技術には本当に驚きます。

いいバイク屋さんにお世話になっていると思います。繰り返しになってしまいますが、感謝です。

2 件のコメント:

  1. 直って良かったですね。
    先の記事の1枚目の写真を改めて拝見しましたが、部品交換(ややすもするとアッセンブリ)で対応されるケースが多いのではないでしょうか。
    メーカー推奨の対応があるのでしょうけども、、、
    素晴らしいショップさんですね!!いつも樹生さんの記事を拝見する度思います。

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    1. Hiroshi Mutoさん、こんにちは。
      僕もアッセンブリで部品交換かと思っていました。
      メーカーもあれを直せるとは思わないでしょう。
      あくまで、ズームさんの単独の判断です。
      第一、正規ディーラーではないのです。
      ズームさん、モトグッツィに関しても整備の経験豊富で、現在もゆきかぜだけでなく、V7レーサーの他にも1100SPORTやルマン、マーニまでメンテナンスを引き受けています。
      その整備は、正規ディーラーで見てもらっても原因不明でお手上げのバイクが来て、直してもらったり、関東で超有名な店で持てもらったのに不調なバイクが来たりと、もう駆け込み寺のような状態ですが、本当に研究熱心で、かつ、顧客本位、V7のパーツも、通常整備で必要となるものなどは、ストックが(もちろん大量ではないですが)あるほどです。

      自作の工具もレンチ類だけでなく、独自の機構をもつジャッキアップスタンド(狭い場所で高さの可変域が従来よりも広い)だったり、独自の治具だったり、多岐にわたっています。

      個人の小さな店ですが、本当に研究熱心で腕が確かで、乗り手のことを第一に考えてくれる、
      素晴らしい店だと思います。
      僕は本当に恵まれています。
      感謝しなくては、と思います。

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