2014年6月14日

6月1日。ゆきかぜと走る。

6月1日の日曜日。
ゆきかぜをひっぱりだしてふらりと走りに出かけた。
海を見に行くつもりだった。(長い記事です。)

昨日まではかなり暑い日が続いていたので、6月始めの北海道としては少し薄着の、と言っても、アンダーウェアにボタンダウンシャツを重ねて、その上からジャケットを羽織るというスタイルで出かけたのだが、海沿いは霧がかかり、気温も低く寒かった。
寒さと霧から逃げて内陸へ向かった。
空知地方の平野を好き勝手に。国道を外れ、農道をふらふらとあっち行ったりこっち行ったりし、小さな橋を渡ったところで、堤防沿いの道に入り込んだ。

2014年6月1日 10:15 
ダートをしばらく走る。

ゆきかぜは上の写真のようなダートなら、例えば60km/hでも、それ以上でも安定して安心して走れる。フロントからのスリップダウンには細心の注意を払わねばならないが、GPZに比べれば軽く、18インチのタイヤは滑り出しも穏やかで扱いやすい。ただ、欠点はスタンディングで走ると、ステップ位置が前過ぎ、ハンドル位置も少しあっていないように感じる。ステップを8~10cmくらい後ろに引けば、ダートランも舗装路のコーナリングも、ピタッと決まるように思えるのだが…。

いやいや、それはもしダートを飛ばしたらの話で、この日は自転車ほどのスピードでゆっくり、ゆっくり走った。
何せ昨年末から年を跨いで、ちゃんと心休める休日がほとんどなかったのだ。休みでも最低半日は仕事があったり、仕事がないことになっていても自宅でしなければならなかったりして。

昨日、やっとsan-chanご夫妻とツーリングができたばっかりだ。
せっかくの2連休。今日は少し一人で走ろうと、走り出してきたが、寒いし、仕事の疲れはまだ残っているしで、今日はゆっくり走ろうと思っていたのだった。

だれも通らない堤防の道。
少し走ったところでゆきかぜを停め、休憩にした。

2014年6月1日日曜日 10:17
自宅から持ってきた缶コーヒーを飲む。
鳥がたくさん鳴いていた。風の音も聞こえた。
タンポポは綿毛になり、菜の花は7分咲きくらいだった。

しずかに一人で堤防に腰かけてぼーっとする。
こんな時間は久しくなかった。
高校生の頃は、ときどき自転車で堤防を走って行き、誰もいないところで腰かけて2時間くらいぼーっとして帰ってきていたのに。

今日は20分だけだ。

それでも、大分ほぐれた感じだった。

2014年6月1日日曜日 11:25
芦別町の黄金水松公園にやってきた。
ここには黄金水松(こがねみずまつ)という、樹齢1700年の大きなイチイの樹がある。
その樹を見に来た。2年ぶりか。5度目の訪問になると思う。
静かな公園には駐車場もあり、水洗のトイレもあるのだが、やはり誰にも会わなかった。
最初に尋ねた時に比べると、公園の北側斜面に植えられた苗木も大きく育ち、公園から展望できていた景色が、その木々で遮られて見えにくくなっていた。

2014年6月1日日曜日 11:33
せっかく展望できる高台に東屋もあるのに…とも思ったが、それよりも裸の斜面に木々が繁ることの方が、喜ばしいことであるのは疑いないことだった。

観光客というのは、勝手な感想を持つものだ。僕なんかその典型だな。

2014年6月1日日曜日 11:33
1700年生きてきた黄金水松は、何度来ても厳かな気持ちにさせてくれる。
荘厳な佇まい。しかも痛んではいるものの、現在も元気だ。
周りの木々がみな若いのは、数十年前には、この丘はこの樹を除いて樹がことごとく伐られて丸裸だったのだろう。大きな樹は、周囲の地形や森の木々、生き物全体で育て、守るものだ。一人ぼっちになったイチイはその間にだいぶ痛んだに違いない。
それでもまた、周囲に樹が育ち、また枝を広げている。
その生命力の前には、なんというか、僕が持っていないはずの「敬虔な」気持ちを引き出されるような気さえするのだった。

黄金水松に別れの挨拶をし、僕は道を北上、新城地区から東へ林道を5kmほど、夫婦滝を訪ねた。

2014年6月1日日曜日 12:15
山の中、少し開けた谷にある滝で、空が明るく見える、不思議な滝だった。
そう大きくはない。そう美しいわけでも。でも。夫婦の滝というなら、それでいいのかもしれない。
そんなに特別立派だったり、自慢げに美しかったりしたら、それを維持するためにいつのまにか嘘が入り込むだろう。それよりも、平凡でいいから、自慢げでなくていいから、ただ在る、そういう滝の方が、夫婦滝という名にふさわしい気もした。

2014年6月1日日曜日 12:31
ゆっくり林道を引き返す。
ゆきかぜもだんだん、林道を走ることに慣れて来ただろうか。
おしゃれなイタリアンシティバイクを日本の砂利道に誘い込むとは、デートしては最悪だ。
僕は昔からそういう奴で、女の人の扱いはまったくできてないのだった。

回りたがるツインエンジン。2000rpm以下はローギア以外はノッキングを起こして使えない。
しかし、空冷のビッグツインをあまりゆっくりばかり長時間走らせても、熱的にエンジンがしんどい。
林道でのちょうどいいギヤ、ちょうどいい速度は、実はGPZ1100よりも狭いのだ。
エンジンを痛めないように、サスペンションを痛めないように。
堤防のダートと違い、本物の林道、山道では、また別の気の使い方をしなければならない。

さあ、林道の出口も近い。視界が開けた。
ゆきかぜ、もうすぐ舗装路だよ。

2014年6月1日日曜日 12:38
芦別市新城地区は、東西の丘に挟まれた広い穏やかな谷が南北に走る地形。どこかカルデラ盆地を思わせるような、でもカルデラというよりは、縁の開いたお茶碗のようなそんな地形だ。比較的急な西の丘には畑が、比較的緩やかな東の斜面には水田が広がっている。
道道を離れ、一本中の道をゆきかぜと散歩する。
舗装路。ゆきかぜもほっとしたようだ。ぽこぽこと穏やかに、行ったり来たり、丘を巡る。

2014年6月1日 12:43
あぜ道にゆきかぜを停めて、すこし風に吹かれてみた。
だいぶ気温は上がり、もう寒くはない。
あたたかな春の日といった感じだ。

2014年6月1日日曜日 12:43
ため池の水も、だいぶ緩んだ(水温が上がった)だろうか。
今日はよく風に吹かれている。
気持ちのいい風の日だ。
そろそろお腹も空いてきた。

2014年6月1日日曜日 13:03
新城から北上し、少し西にそれて、丘を越え、深川へ下っていく。
遠く白い雪渓を残しているのは、たぶん暑寒別岳を擁する連山だろう。
広い道幅、大きなカーブ。ゆきかぜも伸びをして、深呼吸。

もう1時。
帰りは国道275号線を下りながら、またまた時々さらに一本西の農道やらを走りつないでいく。
時々、迷ったりしながら、誰もいない道を走る。
時々、安全を確認してハンドリングテストをする。いろんな速度で走り、いろんな速さでバイクを傾け、曲がり方の傾向を探る。無理しないように、変な負担を掛けないように。
それでもアクセルをストッパ―に当たるまで回し、各ギア、各回転の吹けを試すことはできた。(もちろん全部のギアではありません。)去年もやっているが、その時はほぼ直線路だった。今回は登り、下り、直線、カーブ、いろんな状況で試すことができた。
7000rpmのリミッター作動まで、きれいに、直線的に吹け上がる。2ストやマルチのように、二次曲線的に跳ね上がらないのでドラマティックではないが、開けやすく、フルバンクに近い状況でも全開を許す。
道路のバンプに車体が飛ばされても、そんなに恐怖には駆られない。高剛性ではなく、けっこう振られるが、そう怖い振れ方ではない。ただし、限界域まで攻めていないので、もっとペースを上げるとどうなるかは分からない。(ゆきかぜが平気でも僕が持たないと思う^^;)

バイアスタイヤピレリスポーツデーモンは、細いタイヤなのに、よくグリップする。
ブレークも少しずつ負けはじめる感じで、一気にズバッと滑らないから、滑り始めたらペースを落とせばよい。

ゆきかぜ、限界はこんな形のバイクとしてはかなり高いようだ。
今日のところはライダーの方が付いていけてない。僕の腕が足りない。
もう僕も50歳も過ぎているし、いきなり無理はしないでおこう。少しずつ、乗り方を学習して行こう。

2014年6月1日日曜日 13:38
月形町のセブンイレブンでサンドイッチと缶コーヒーを買って、少し遅めの昼食にした。
アスファルトに腰かけて風に吹かれながら、ゆきかぜを眺めながらのお昼。
地産地消の地元食材でランチ…と行けばもっといいのだろうけれど。
まあ、僕だからね。しょうがないかな。
こういうのも、結構好きだったりするんだよ。ゆきかぜ。

さあ、もう一息休んだら、帰ろうか。
今日のデート。僕は楽しかったなあ。
君は、どう感じたのかな?
明日からはまた通勤バイクだよ。
あ、やっぱり怒ってる?

2 件のコメント:

  1. 青系統の背景に映える“ゆきかぜ”。美しきレディ。

    あっ!新城! ワタシも本日・・・
    愛知県の新城市方面に出没しておりましたw

    返信削除
    返信
    1. tkjさん、こんにちは。
      僕って基本田舎方面へ走っていくので、空とか、緑とか、青い写真が多くなるんですね。
      前はバイクも服も青だったので、青づくしだったんですが、
      このレディ、白赤のツートンで、どっか小型の複葉機のようでもあるなあ…なんて、勝手に思っています。

      今年も【→集結←】ツーリングやるんですね!エルボン飯田もすっかり定番で、地元にしても、集結するライダーにとっても恒例になって、次第に「伝統の…」になっていくのかもしれません。
      tkjさんのバイクと、バイク仲間を大切にしようという気持ちが伝わってきます。
      ただ好きなだけ、楽しいだけでは、集結の幹事はきません。
      こうしたイベントを続けていくこと、育て、絶やさないようにすること、すばらしいことだと思います。
      CBRさんも、もう11万キロですね。

      削除