2020年7月4日

逆操舵再び(4)逆ハンでのリーン(前ブログより)

逆操舵について。
前のブログに書いた記事「リーン動作 逆ハン」を、本ブログに再掲載します。
記事は以前のそのまま、書いた期日は2008年4月15日と、12年も前です。
今読むと、部分的にその説明は少し焦点がずれていると思うところもあります。
しかし、乱暴に言えば、「大まかには合っている」と言ってもいいと思います。

では、どうぞ。

(また、同じ写真?ごめんなさい。走行写真のオリジナル、とっても少ないんで…)
と、元記事のコメントです。

さて、今回から、実際にバイクを傾けるときの具体的な方法論について考えて行きたいと思います。

今回は、リーンのきっかけとしての「逆ハン」、カウンターステアについてです。

逆ハンとは、直立、直進状態から、例えば右に曲がるときは、ハンドルを左に切り、左に曲がるときはハンドルを右に切る…という、曲がりたい方向と逆の方向にフロントタイヤを向けることから来ている名称です。

バイクのライテクとしては、昔からよく言われている方法です。
「そうやってバイクを倒して曲がれ」という言い方で。

この逆ハンについてはかつてコーナリングフォームについて記事を連載した際、リーンインについて書いた記事の中で触れたことがありました。

逆ハン、逆操舵、カウンターステア、呼び方はいろいろあれど、曲がりたい方向と反対にハンドルを切ると言う点では同じことを指しています。

この逆操舵を使うと、実際に車体は面白いように寝ます。
なぜ、そうなるのか、それは、やはりロール軸を考えるとわかりやすいのです。
図1
前回の図1にもう一度登場してもらいましょう。
今、上のライダーがこちら側、進行方向に向かって左側に曲がりたいと思ったとしてください。
ライダーがハンドルを曲がりたい方向とは逆の右側に切ります。これがカウンターステア(=逆操舵)ですね。
すると右に切られたハンドルにより、Fタイヤは緑の矢印のように右側に向かうことになります。
ライダーが与えた操作が逆操舵だけなら、直進しようとするバイクのFタイヤが右に行こうとしたわけですが、バイク自身は直進しようとしていますから、一番動きにくいロール軸を軸にして、Fタイヤのある軸下が右に回転した分、軸の上の後輪を含む車体は左に回転しようとするのです。
結果、車体全体は左に倒れると言うわけです。

『バイカーズステーション』誌によれば、最近のBMWはライダーの逆操舵を前提としたハンドリングになっているといいますし、故前田淳選手も公道での倒しこみには逆操舵を推奨しています。
ほとんどのバイクで、この逆操舵でバイクは簡単に、鋭く、寝かせることが可能です。

しかし、以前も書きましたが、私はこの方法をあまりお薦めしたくないのです。
いや正確には、逆操舵も使うのですが、これをメインの入力にすることはあまり好まないのです。

理由の一つは、この逆操舵、これそのものは、バイクを倒しはするけれど、進路の変更にはならないからです。

直進状態から、単純に一瞬逆操舵を入れたとします。
例えば、左のグリップを「クン」と押す(右に切る)と、どうなるか。
バイクは一瞬身震いするように逆ハンに少し遅れて左に倒れ、その後起き上がってまた直進します。
まるで路上のギャップを乗り越えて瞬間ハンドルが振られ、また収まったかのようです。

逆ハンは、フロントタイヤを左右に振ることによって、ロール軸と車輪との間に一種のねじれ、乖離を引き起こし、それを回復しようとほんの少し遅れて車体側がタイヤとは反対側にロールする、その原理を利用しているのみです。
車体にヨー運動を起こさせる、つまり、進路を旋回状態に変更するためには、逆ハンの効果によって車体が倒れるとき、ライダーもその車体の傾きに同調して重心をイン側に写し、傾いた車体と後輪の内側に重心がくるようにしなければなりません。
「曲がるつもり」のライダーは無意識にそれをしていますので、逆ハンのみで曲がったように感じるのですが、実は、逆ハンがしたのは一瞬のバイクの傾きのきっかけをつくっただけで、それと同調した重心移動こそが、バイクを曲げていたのです。

逆ハンが簡単に車体を倒せるのは、Fタイヤの接地点がロール軸から離れているため、少ない力で接地点を左右に動かす、つまり、車体をロール方向に回転させることができるためです。
ドライバー(ねじ回し)のグリップの太い方が少ない力で大きなトルクをかけられるのと同じ原理です。

逆ハンと体重移動を調和させてうまく行えば、バイクは素早くスムーズにバンクし、旋回状態にもち込むことができます。
多くの論者が逆ハンを推奨するのは、操作が手による単純でわかりやすい方法であり、力もそんなに要らず、誰でもその「車体を倒す効果」を簡単に実践できるからだと私は思います。

しかし、繰り返しになりますが、逆ハンのみでは、バイクは傾いても曲がりません。
車体はこじられ、Fタイヤには負荷がかかります。
逆ハンのみでなく、それ以外の倒しこみの動作と併用して逆ハンは使うべきだと、さらに極論すれば、逆ハンに頼らずにバンキング(=リーン)するのが、バイクライディングとしてはより好ましいと、私は考えるのです。

では、どうするのか。
いくつかの方法が昔から言われています。次回は、ステップ荷重について考えたいと思います。

(ライテク記事はもう少し続きます。くどいけど、がまんしてね。)


<付記 4月17日>
記事の題名を、「リーンのきっかけ 逆ハン」から「リーン動作 逆ハン」に改称しました。シリーズ物としての統一性を図るためです。ご了承ください。


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以上が、前のブログに書いた記事「リーン動作 逆ハン」でした。
久しぶりに読み返してみましたが、前回上げた動画でも、同じようなことを言っていました。
私って、相変わらずのようです。

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