2020年7月17日

暑寒別回廊(4)



帰る前に寄りたかったところ、それは、望来の海が見える駐車場だ。
「嶺泊展望パーキング」という名前らしい。

ゆきかぜの向こうに見えるのは、麦畑。


どうしてここに来たかったかというと…

















「selenさんの樹」があるからだ。

…なんて、おこがましくも僕が勝手にそう呼んでいるだけだが、
このブログでもマイブログ リストに上げさせていただいている、
モトグッチと銀塩カメラと』のselenさん。

そのselenさんが好きな樹…というか、樹のある風景というか、この空間というか…
それがこの嶺泊展望パーキングなのだが、僕にとってはこの樹が、忘れ難く、
印象に残っている。


今日は、樹までの草原に、ちょうど今が盛りの自然の花々が咲いていた。
こんなにカラフルなここに来るのは、初めてだった。

selenさんはこの樹に、どんな物語をみているのだろう。
同じ風景、同じ樹を見ても、その人に映るものは、一人ひとりちがう。
また、同じ場所でも、訪れる季節、時間、天候、いろいろあって全く同じ風景は決してない。

たぶん今、僕は僕だけの風景を、このselenさんの樹に見ている。
それは、全く同じものは決して人と共有できないものであるということであり、
人の孤独性を示しているものでもある。
が、同時にそれは、悲しいことではなく、人の自由をも示しているものだ。

わかりあえないからこそ、人を理解したいという気持ちが生まれる。
共有できないからこそ、心を合わせようとするその姿勢が生まれる。

人は孤独でなければ自由にはなれないし、
孤独でなければ、友人はできない。



望来からは、厚田の無煙浜方向から、巨大な煙突のそびえるごみ処理場方向へと脇道を行く。

途中一部ダートになる。

森の端っこをかすめるように、樹々の中をダートが行く。

さあ、休憩もこれが最後だ。

今から家まで、また一走り。
もう一度深呼吸してから、僕はゆきかぜの方へ歩いていく。
(『暑寒別回廊』完)

2 件のコメント:

  1. あ!
    もう既にこの風景が懐かしいです。

    撮る人によってこんなにも違って写るのが、
    とても新鮮で、新たに魅力を感じたりです。
    きっと、それはその一枚に、そこに居るRIDER(樹生さん)を、
    感じられるから・・かもです。

    同じ風景を、それぞれの中で・・
    この風景を、それぞれの中で・・
    そして同じ風景を、それぞれに走って行きましょう。
    ずっと、ずっと。

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    1. selenさん、こんにちは。
      同じ風景なのに、写真がかなり違うのには、私も驚きました。
      ライダーによって見えるものは一人ひとり違うと思いますが、
      写真も変わるのは、角度とか、selenさんはフィルムで現像されていますから、
      その色合いとか、そういう微妙な点の重なりで、違うものになっていくのかもしれませんね。
      でも、それが、同じところに行っても、その都度違って、人によって違って、面白いということなのかもしれません。
      長く、長く、走り続けていきたいと願っています。

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