2015年6月27日

Kと走る。(3)

望洋の丘から、Kと走りだす。
丘を下り、国道276号線を倶知安へ。
そこから道道58号に乗ってニセコの山を登った。


道道58号は、倶知安の街から直接ニセコの山へ登って行く道。
途中に狭い1車線区間もあり、眺望も木々に阻まれて開けないところが多く、観光道路としてはそれほどおすすめではない。

でも、山を登って行く実感は、十分に味わえる。
13:51 倶知安町 道道58号

Kと僕は、途中、ゆっくり上る軽乗用車を追い越して登って行く。
僕らが車を追い越すのは珍しいのだが、センタラインが白色の直線区間を待ち、抜かせてもらった。

マナーも守りたい。しかし、せっかくの山道。車の後ろで徐行ばかりでは、走っていて面白くはない。

こうしたバランスをどこに置くか。
これはなかなか話題にはしにくい。
しかし、走るときにはそれは如実に表れ、その人の走りへの考え方や、時として人間性までも露わにしてしまう。


14:01 倶知安町 道道58号
道は狭い九十九折となり、折り返しながら高度を上げてやがて狭い峠を越える。
峠付近は少しなだらかになっていて、そこから向こう側へ下って行く。
五色温泉、ニセコ連峰の主峰、ニセコアンヌプリ(1308)への登山口を通り過ぎる。

今回、僕らは通過していく。


14:02 蘭越町 道道58号
土曜日の午後、五色温泉付近には登山の車が多く停まり、ランニングしている人たちもいた。
その中に、70は優に過ぎていると思われる男性が走っていて、しかも、ジョギングというよりはかなり追い込んだ走り方をしていた。

停まってからKと話した。
あの人は、競技的な走りをしていた。大会に出ているか、さもなくば自分を追い込んで走ることを自分に課している人だ。
健康のためというレベルを越えていたね。

人は何のために走るのだろう。

もちろん答えは人それぞれ。

Kもまたライダーであると同時にフルマラソンの大会に年5,6回出場するランナーでもある。

僕はまったくランニングはしない。

それでもその男性の自分を追い込む走り方は、僕にも、Kにも、同じように何か迫るものがあった。


14:02 蘭越町 道道58号
上の写真と同じ場所。
蘭越方向のニセコの裾野が見えてきた。

景色のいい高台だ。

ちょっとだけ停めて、写真を撮ることにした。


14:02 蘭越町 道道58号
タンクバッグに入れた地図を見ながらこれからどっち方向へ走ろうかと考えているK。

良く晴れた。気温も上がってきているだろう。
でもここは標高が高いせいもあって、暑さは全く感じない。


ニセコの風景を見ていて、時々、阿蘇に似ていると感じるときがある。

阿蘇はカルデラで外輪山の切り立った崖のような山から下りると、平らな平野が広がり、そしてその中に中岳などの阿蘇の火山群が聳えている。
とてもスケールの大きい風景、そしてカルデラならではの、独特の風景だ。

ニセコは違う。
カルデラではないし、生えている樹の植生も違う。
阿蘇の外輪山の周囲は牧草地だが、ニセコの周囲は畑が多い。

違う風景なのだが、どこか似ているように思う。
今回も思った。

なぜだろう、どこがいったい…。

などととりとめのないことも考えながら走って行くのも、ツーリング中のなんとなくありがちなシーンのひとつだ。

こんなふうな走りながらのとりとめのない思考も、なんだかよかったりする。
ホントに何でもない事だし、第一運転しているわけだから考えに集中しているわけではない。
意識は、操作や路面や風景に向いているのだ。

それでも自然に去来する思考……。

オートバイライディングは禅に少し似ている。
思考に意識を持って行かず、自然に浮かんでは消える思考を、そのままに流していく。

そうやって走るのも、実はなかなかにいいものである。

さあ、パノラマラインへと進んでいこう。(つづく)

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