丘を下り、国道276号線を倶知安へ。
そこから道道58号に乗ってニセコの山を登った。
道道58号は、倶知安の街から直接ニセコの山へ登って行く道。
途中に狭い1車線区間もあり、眺望も木々に阻まれて開けないところが多く、観光道路としてはそれほどおすすめではない。
でも、山を登って行く実感は、十分に味わえる。
13:51 倶知安町 道道58号 |
Kと僕は、途中、ゆっくり上る軽乗用車を追い越して登って行く。
僕らが車を追い越すのは珍しいのだが、センタラインが白色の直線区間を待ち、抜かせてもらった。
マナーも守りたい。しかし、せっかくの山道。車の後ろで徐行ばかりでは、走っていて面白くはない。
こうしたバランスをどこに置くか。
これはなかなか話題にはしにくい。
しかし、走るときにはそれは如実に表れ、その人の走りへの考え方や、時として人間性までも露わにしてしまう。
14:01 倶知安町 道道58号 |
峠付近は少しなだらかになっていて、そこから向こう側へ下って行く。
五色温泉、ニセコ連峰の主峰、ニセコアンヌプリ(1308)への登山口を通り過ぎる。
今回、僕らは通過していく。
14:02 蘭越町 道道58号 |
その中に、70は優に過ぎていると思われる男性が走っていて、しかも、ジョギングというよりはかなり追い込んだ走り方をしていた。
停まってからKと話した。
あの人は、競技的な走りをしていた。大会に出ているか、さもなくば自分を追い込んで走ることを自分に課している人だ。
健康のためというレベルを越えていたね。
人は何のために走るのだろう。
もちろん答えは人それぞれ。
Kもまたライダーであると同時にフルマラソンの大会に年5,6回出場するランナーでもある。
僕はまったくランニングはしない。
それでもその男性の自分を追い込む走り方は、僕にも、Kにも、同じように何か迫るものがあった。
14:02 蘭越町 道道58号 |
蘭越方向のニセコの裾野が見えてきた。
景色のいい高台だ。
ちょっとだけ停めて、写真を撮ることにした。
14:02 蘭越町 道道58号 |
良く晴れた。気温も上がってきているだろう。
でもここは標高が高いせいもあって、暑さは全く感じない。
ニセコの風景を見ていて、時々、阿蘇に似ていると感じるときがある。
阿蘇はカルデラで外輪山の切り立った崖のような山から下りると、平らな平野が広がり、そしてその中に中岳などの阿蘇の火山群が聳えている。
とてもスケールの大きい風景、そしてカルデラならではの、独特の風景だ。
ニセコは違う。
カルデラではないし、生えている樹の植生も違う。
阿蘇の外輪山の周囲は牧草地だが、ニセコの周囲は畑が多い。
違う風景なのだが、どこか似ているように思う。
今回も思った。
なぜだろう、どこがいったい…。
などととりとめのないことも考えながら走って行くのも、ツーリング中のなんとなくありがちなシーンのひとつだ。
こんなふうな走りながらのとりとめのない思考も、なんだかよかったりする。
ホントに何でもない事だし、第一運転しているわけだから考えに集中しているわけではない。
意識は、操作や路面や風景に向いているのだ。
それでも自然に去来する思考……。
オートバイライディングは禅に少し似ている。
思考に意識を持って行かず、自然に浮かんでは消える思考を、そのままに流していく。
そうやって走るのも、実はなかなかにいいものである。
さあ、パノラマラインへと進んでいこう。(つづく)
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