メッツラーのバイアスタイヤ「レーザーテック」(METZELER LASERTEC)
そのハンドリングインプレッションをお伝えする。(筆者は完全にド素人です。一個人の感想です。あまり信用しないでね。)
装着サイズは
フロント100/90-18(横幅100㎜、偏平率90%、18インチホイールに装着)
リヤ130/80-17(横幅130㎜、偏平率80%、17インチホイールに装着)
ちなみに今回の購入値段はフロント16092円、リヤ20412円(税込)(工賃別)
(この値段については、「こちらの記事」もどうぞ。)
メッツラーの日本語版HPでは、2015年6月7日現在、タイヤの解説を読むことはできない。
そこで、「バイクタイヤ専門店、マッハオンラインショップ」のメッツラーの頁を参照しよう。
サイズ展開もそのページに載っている。
上記マッハの頁から引用。 |
そこでの説明は、以前の記事にも載せたが、再掲すると、
Lasertec Hレンジ(お取り寄せ)
トラディショナルパターンを生かしながらも最新テクノロジーを搭載したである。
スポーツバイク用バイアスタイヤ・レーザーテック。
●伝統的ロングセラ-を誇るクラシックなトレッドパタ-ンが抜群の排水性を発揮。
●レーザーテック専用設計ハイシリカ・コンパウンドが安定したドライ・ウェットグリップ を提供。
さらにブレ-キング性能を向上させ、制動距離の短縮も実現。
●マルチプルラディアス(異径プロファイル)の採用により、ライトハンドリングを実現。
さらに直進安定性、コ-ナリング安定性の向上を実現。
●軽量ポリエステル・ファイバ-・カ-カスが、速度域を問わない乗り心地としっかりとした接地感をライダ-に提供。タイヤとしての安全域を拡大。速度記号Hは210km/h以下
V7の最高速は各ギヤでの回転リミッター7000rpmがトップ5速でも有効とすると(そうでない可能性もあります。)
だいたい190km/h弱なので、Hレンジで十分だ。
(新品から約280km走っての表面) |
(同左) |
結論からまとめて述べよう。
☆ 総じて素直で安定し、とんがったところのない、信用できる特性。
1 乗り心地はソフト。ダイレクト感はピレリスポーツデーモンに比べると少し少ない。
2 ニュートラルなハンドリングを実現。切り込みやふらつきはない。
3 グリップ力は十分。V7でグリップ力不足を感じることはないと思われる。
4 運動性よりも安定性重視。しっとりしたハンドリング。
5 雨天時のグリップ安定性、タイヤライフの長さなどは不明。追ってレポート。
1について。
これは新品に換え、トレッドの厚さなどから感じられるソフトさかもしれない。
記憶の中では、ピレリ新品時よりもソフトな気がする。(気のせいかもしれない。)
タイヤを触った時にトレッドの端の角が柔らかく感じた。上質な消しゴムのような感触だ。
タイヤ表面が常に少しずつ変形しながらグリップしていくなら、接地感は少し粘るような
柔らかいものとなるだろう。そんな感じがする。(あくまで感覚的なものです。)
ピレリの新品時も傾けて行ったときに接地面が微妙に動きながらグリップしている感じがあった。
リヤが外に回り込みながらも滑らずにぐいぐい外側へ路面を蹴って内側へと力を伝えているような感覚だ。
レーザーテックでは、接地面が動いてタイヤが回り込んでいるという感覚はない。
しかし全体にソフトで、路面の凸凹から来る振動を減衰しているのははっきり分かる。
乗り心地はよく、路面の振動の角が取れるので、長時間になると疲れにくいのではないだろうか。
2について。
どんなバイクでも、タイヤでも、使用限界を超えて編磨耗してしまったタイヤではまともなハンドリングは望めない。交換前は完全に使い過ぎていた。ハンドリングが崩れていてもそれはピレリ・スポーツデーモンのせいではない。むしろ、あんなにまで減っていたのに、乗り手に恐怖を与えず、普通に走り続けたのはすごかった。
さて、新品のレーザーテック。アクセル操作が足だったら、両手離しでもカーブに入って行ける くらいニュートラルだ。保舵力をほとんど必要としないハンドリングは、神経的に疲れない。
V7は座る位置や、同じところに座っても、上半身に姿勢などでもハンドリングが変わる(=変えることができる)バイクで、スポーツデーモンの時はその反応がシャープ。旋回力を旋回中に微調整するのが楽しかったが、それに比べるならレーザーテックはややダル。変えられるが、その反応は穏やかで代わり幅も少ない。
また、直進していても、スポーツデーモンよりも直進性が高く感じる。
これは気を抜いて走ってもふらふらしないということでもあり、ツーリングで疲れないことにもなる。
反面、直進からのリーンへの反応は、やや遅く、手ごたえがある。
もちろん、比較すれば、ということであり、V7生来のハンドリングの軽さはきちんと生きている。
3について。
V7の50psを6200rpmでアクセル全開にして叩き付けても、グリップ力に不足は感じない。
また、車体が直立していればブレーキングでも、安定してフルブレーキできる。
プロのジャーナリストがタイヤテストするときには、タイヤがブレークするまでバンクし、パワーを掛けて、路面にブラックマークの弧を描くが、そこまで攻めることはできなかった。
上記のフルパワーを掛ける話にしても、そこの路面がバンピーだったりすると、タイヤは跳ねたり、荷重が抜けたところでブレークしたりするが、それまで追い込むこともできなかった。
まあ、乗り手の腕の問題だが、グリップ限界迫っているような兆候は感じられなかった。
スポーツデーモンの時は低速コーナーで2速全開をくれると、グリップしながらも、そろそろ限界が近いことをタイヤがフィーリングとして教えてくれた。
今日のレーザーテックは、まだまだ限界が先であるかのように安定している。
バイアスタイヤのいいところは、限界が低くても、そのわかりやすさにある。
いきなり滑らずに徐々に限界が近いことを教えてくれるのだ。
今日のレーザーテックは、限界の近接を教えてくれる兆候はなかった。
まだまだ限界が先なのか、ずっといいグリップ状態から、限界が急速に表れるのか、これも次回の宿題だ。
しかし、今回は普通のツーリングで掛けるだろう最大出力位は掛けているので、通常の使用でグリップ力不足を感じることはまずない、と言って良いと思う。
ブレーキングでも、今回はフロントがロックするところまで攻めていない。
しかし、減速Gはそれなりにかかっており、ブレーキング時のグリップも十分に高いと思われた。
V7は基本設計が古いし、フレームもしなやか。高速でコーナリング中に路面がうねっていると、フレームが揺れ出す。
フルブレーキングでも、車体を直立させ、荷重をまっすぐ掛けるようにしてブレーキングすれば、かなりの減速力を発揮するが、ライダーの姿勢や路面状態、ハンドルへの入力などによって、荷重が車体の中心からずれると、車体が不安定になり、フレームが歪んている感覚に襲われる。(本当になっているかどうかはわからないが。)
V7のブレーキングは度胸だけでも、レバー操作だけでもなく、減速Gをどう掛けるのかを全体的にプロデュースしていく感覚が大切だ。
度胸の突っ込み勝負には向いていない。
ちゃんと、早めに減速に入って、そこからのコントロールで勝負するタイプだ。
何度もハードブレーキングを繰り返してテストしていないので、断言はできないが、ブレーキング時のグリップ力、フロントタイヤの安定性ともに相当に高いと感じた。
4について。
ピレリスポーツデーモンと比べて、という話だが、メッツラーレーザーテックはリーン全域で安定している。
その分、運動性、俊敏性は一歩譲る。
やはりツーリング向けに開発されたタイヤ、ということだろう。
美点は、どの状態でも安定性が高く、ふらっとしたり、倒れ込みそうで不安になる、ということがない。
倒していくと、最初から少しの手ごたえを感じる。
だがそれは不自然なものでもなく、重すぎることもない、心地よい手ごたえ感と言って良い。
それが倒しこむにつれて(バンク角が増すにつれて)、安定性が少しずつ高くなり、さらに倒す方向が重くなる。これも、急になるのではなく、実に自然に感じられる。
どこかに特性の変化するポイントがあると、傾ける動作があるところまで重くてそこから軽くなったりする。するとそのポイントを通過すると急にバイクが倒れ込むように感じられ、怖くなる。そしてそのポイント前後のバンク角ではいつも変化に身構えていなくてはならなくなり、神経も疲れる。
レーザーテックはその変化ポイントがなく、徐々に倒し方向が重くなっていくという、ツーリングライダーにとっては、最も信頼でき、安心できるハンドリング特性だ。
倒しこむのをやめれば、自然に起き上ってくるので、気の遣い方がシンプルでいい。
特に深いバンク角でも安定性はとても優れていて、これはピレリ以上だ。
GPZに履いていたラジアルタイヤ、Z6インタラクト(現在はZ8インタラクト)を思い出す。
深いバンク角でも安心して体を預けられる。
ただ、その分、そのバンク角からの運動性はやや鈍いことになる。
ピレリスポーツデーモンでは、深いバンク角からのライン修正も機敏に、身軽にできた。
しかしレーザーテックを履くと、安定性能が高いので、それを崩して別の状態に持ち込むのには、明確に入力してやる必要がある。入力と言っても、力を入れてどこかを押したり引いたりするのではない。体重の預け方、身体の重心の移動などを、割と潔く、スパッと行わないと、反応が鈍いのだ。
これと同じ入力をピレリでやると反応が大きすぎて姿勢が崩れすぎる。
レーザーテックでフルバンク状態からのライン変更をきびきびしたいのなら、そのための一番いい移動量、タイミング、速度を、場合ばあい毎にマスターしていく必要がある。
ある程度のところまではピレリよりも楽だし分かりやすさもピレリと同等、グリップ力も十分なのだが、運動性をタイヤの限界域まで上げようとすると、難しくなってくる。
荷重移動を「適切に」しっかり起こすことが必要だ。80年代のカワサキのバイクの乗りこなし方に似ているかもしれない。
ピレリスポーツデーモン=ヤマハ。 メッツラーレーザーテック=カワサキ。
そんなイメージが、案外近いのかと思った。
5について
雨、タイヤライフについてはまだわからないので、機会を見てレポートする。
しかし、パターンや溝の多さ、深さなどから雨は期待できそうだし、
あまり発熱せず、それでもグリップを安定的に発揮していて、ひげが取れるまでの距離も長いことからみると、ライフも期待できそうだ。
もう一度、ピレリと比較してまとめよう。
『マッハ』の頁より引用。 |
『マッハ』の頁より引用。 |
ピレリ、スポーツデーモン Vs メッツラー、レーザーテック
両者に共通しているのは、
ともにバイアスタイヤとしては高評価を得ていて、どちらも素晴らしい性能だ。
公道で通常の使用をする限りにおいては、乗り心地よく、癖もなく、絶対グリップ力も十分以上。
その上で比較すると、
ピレリ、スポーツデーモン
・精確で精緻なハンドリング。
・豊かなフィードバック。
・バンクの途中でもライン変更がたやすい。
・発熱量が多く、温まるとさらにグリップが増す。
・動き全般が軽い。しかし、勝手に動くことがなく信頼できる。
メッツラー、レーザーテック
・安定して正確なハンドリング。
・乗り心地がよく路面からの振動の角をとる減衰能力。疲れない。
・直進安定性も、バンク中の安定性も高い。安心して身をゆだねられる。
・あまり発熱しない。
・動き全体がややしっとりしている。機敏性ではピレリに負ける。
・たぶん、寒い雨の日、山道あり、田舎の1車線の道ありのツーリングではピレリより圧倒的に優位。
・限界域に近い所でさらに働かせるのには少し腕がいる。
たとえるなら、掌側が0.9mm厚のグローブと、1.3mm厚のグローブ、といったところだろうか。
☆お薦めはどちらか。
現時点ではまだトータルな結論とはいかないものの、感覚で言ってしまうなら、
V7の意外にも高いハンドリング性能を100%生かして、高い運動能力を正確に発揮させることがとてもうれしく気持ちいいライダーには、ピレリ・スポーツデーモンがお薦め。
ツーリング主体で疲れず安定、安心したライディングをしながら、より遠くへ、より風景の中へと、走り続けるライダーには、メッツラー・レーザーテックがお薦め。
僕はどちらも好きだ。
ピレリの運動性も捨て難いが、せっかくレーザーテックを履いたので、その安定性に日頃からお世話になりながら、そのレーザーテックでの運動性の潜在能力をどう引き出して俊敏に動けるようにしていくか…、これがライディングの楽しいテーマとなりそうだ。
そう、もちろん、安全第一で。絶対に無理をしないようにして。
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