2015年9月27日

秋の回廊(3)「アルテピアッツァ美唄」


美唄市にある、「アルテピアッツァ美唄」にやってきた。
僕はここが好きで、もう何度も訪れている。
春、夏、秋、それぞれに表情が変わり、それでもいつもやさしい感じの空間で、とても好きだ。
冬だけは訪れたことがないが、雪景色の中のアルテピアッツァはとても美しいだろう。
ゆきかぜをジャリ敷きの駐車場に停め、1時間ほど、ゆっくり散策した。




美唄市は、もと、炭鉱で栄えたが、石油へのエネルギー転換によって閉山が相次ぎ、炭鉱都市として膨れ上がっていた人口は、逆にどんどん減少していった。
北海道空知地方には、そうした街がいくつもある。



ここ、アルテピアッツァ美唄のある土地は美唄市落合町栄。
ここにはもと栄小学校があった。
栄小学校は人口減少のため、1981年に閉校する。
そして、木造校舎が残り、その校舎を使って小さな幼稚園が営まれた。



彫刻家、安田侃(かん)は、美唄市の出身、イタリアを拠点に創作活動をしていたが、
この場所と、幼稚園に通う子供たちの姿に出会い、この場所に彫刻美術館をつくった。
1991年のことだった。



こうしてアルテピアッツァ美唄が誕生した。
安田の彫刻は、校舎の中、外、周辺の森の中などに設置されている。

そして、その彫刻作品はすべて、さわれる。
大きなものは、くぐったり、なでたり、よじ登ったり、くぼみに座ったりする人もいる。



アルテピアッツァ美唄のホームページには、詳しい説明や、美しい写真も多いので、
興味のある方はそちらも参照いただきたい。


僕は脊椎パッドを下ろし、ライディング用のタイトな革ジャンの前を開けて歩きやすくして、
クシタニカントリージーンズライドを少々ごわつかせながら(サイズがワンサイズ大きかったのよ)
周辺をゆっくり歩きまわった。



僕も中学校は木造の校舎だった。
懐かしい匂いがした。




僕の通っていた校舎と違うのは、窓が二重のところだ。
木のサッシ、ガラス板のサイズもそっくり同じだ。





















校舎一階の一部は今も現役の幼稚園。
とびらの向こうは、子どもたちの世界。今日はお休み。

すくすく育て。















校舎から一段高い杜の中に、カフェ「アルテ」。
撮影の許可をいただいて、店内の写真も少し撮った。


ガトーショコラと珈琲をいただいた。

あったかい飲み物と、甘いケーキで力を補給して、また、走りだそう。








園内で出会った生き物たち。

エゾリスは忙しく動いていた。


時刻が10時半を回っていた。
そろそろ、人々が訪れ始めている。





そう、学校も、公園も、人がいる風景こそがふさわしい。




さまざまな人生が交差する、秋の公園の一日。







紅葉には少し早い。
少し肌寒い、でも陽射しが暖かい。
秋の日。

青い空に、秋の風が渡って行った。

(つづく)

2 件のコメント:

  1. 素敵な空間ですね。癒されました。

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    1. tkjさん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      木の校舎と、石の彫刻、違和感があってもいいのですが、不思議な調和も醸し出していると思います。
      でも、本当はそこに子どもたちの元気な声がたくさん響いているのがいちばんいいのでしょうけれど、
      それを思い出させる、というこの空間は、やはりいいものなのだなあ…と、思います。

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