まず、外見にやられて。
デビューした2010年の各誌の評価も上々。2010、2011と大型バイクのベストセラーになった。
映画、ワイルド7で飛葉のマシンとしても登場。
青いスペシャルカラーも出て。
少々重いものの、奇をてらわないすっきりとした外観。
無駄に跳ね上がっていないリヤエンド。
美しい空冷エンジンは低速から高回転まできれいに回り、ハンドリングも軽快。
もう少しで買うところだった。
たぶん、買っても、後悔することなくバイクライフを送っていたことだろう。
買わない決め手になったのは、体育容量が14ℓだったこと。
ガソリンスタンドが開いてない早朝や深夜に北海道の田舎道を200km以上走ることもある自分にしてみれば、ワンタンクの実質航続距離が300kmを割るとかなり苦しい。
ツーリングでリッター20行くとしても、200kmでリザーブに入ってしまうだろう。
そこからガス欠の不安と闘いながら走るのは、ちょっと苦しい。
僕がV7を買ってからCB1100EXが出たが、時すでに遅し。
それに、ゆきかぜ号と付き合い始めた僕にとっては、CB1100EXと言えども、V7以上の魅力があるようには見えなかった。
W800は、CB1100に比べて軽量。
W650から排気量をアップして773ccは、W800というより、W750に近い感じがするのだが、
865ccのボンネビルにあまりに走行性能で差をつけられたので、少し強めに出たか。
でも、コンパクトな車体に低速から強いエンジン。
大径で細いタイヤ。
ツーリングにはもってこいで、走りにこだわる根本健氏は初代W650を氏名買いしているし、ツーリング写真の日本で屈指のカメラマン、須藤栄一氏もW650。
ダートもいけるし、長距離のクルージングもいいし。
ハンドリングも、トライアンフのボンネビルと比べなければまあまあいい(バイカーズステーションのインプレッション)し、飛ばす前提ならスイングアームピボットをもう5mmほど上げて…(ライダースクラブのインプレッション)とあるが、そうでなければ別にいいハンドリング。
エンジン特性はもう、言うことなし。
荷物の積載性もよく、燃費もかなりいい。ただ、タンク容量はやはり14ℓ。それでも燃費のよさから、ワンタンク250kmは精神的に走れる距離のようだ。
航続距離としてはぎりぎり。
なんどか店へ現車を見に行き、跨ってもみたのだが、ボンネビルよりもずっとしっくり来る感じだった。
ただ、飛ばす気にはならない、上体がしっかり立ったポジションだ。
僕は飛ばし屋ではない。
もう、バトルをすることもない。
しかし…。
どうしても、ハンドリングには譲れない一線がある。
右手のトラクションで車体を操る感覚。
カーブでぱっと開けた瞬間に、バッとイン側へ路面を蹴って行こうとするレスポンス。
それが欲しい。
それなしに、平和に流しても、きっとすぐに飽きてしまう。
値段も80万円台と家計的にも魅力。
おそらく、コストパフォーマンス的には一番いいのだ。
でも、踏みきれない。
「走り」をまだ、手離せない…。
そう思ったのだった。
回り回ってたどりついた候補は、ZRX1200DAEG。
GPZ1100の直系の子孫と言ってもいいだろう。
とはいえハンドリングはZRX1100の頃からスパルタン。
走りのネイキッドとして名を馳せたのである。
DAEGになってからは、さらにオールマイティぶりを伸長させ、柳川選手は「対話できるマシン」と評している。
過渡特性が分かりやすく、操作に実感がわきやすいのだそうだ。
曲がりたい方向を見た瞬間にそちらに行くようなハンドリングではない。
ちゃんと操作することによりその操作にリニアに答えて動く。
そう、もっとも信頼できる、ツーリングでもワインディングでも、カットビでも流しても、相棒と呼べるような走りをしてくれるマシンだ。
乗り換えとして躊躇するのは、まず、重さ。車両重量246kgは、やはり重い。
270kgのGPZ1100と18年間付き合ってきたのだから、扱えないことはないだろうが、押し引きの度に憂鬱になるその重さ、重心の高さは、せっかく買い替えるなら、少し変化を求めたいところだった。
それに、おそらくその乗り味は、GPZ1100をもっとパワフルに、しかしマナーよく、上質にしたものだと想像できた。
それでは今までの延長線上にあることになる。
ちょっと変えてみたいのだ。
方向性が同じなら、無理してもGPZを維持する方向で考えたい。
それと、ちょっとのことなのだが、本物のローソンレプリカと比べるとき、DAEGのデザインは寸詰まりというか、伸びやかさに欠ける感じがしたのだ。
そのエンジン、そのフレーム、その前後の脚からネイキッドを素直に作ったら、もう少し違った形になったのではないだろうか。
カワサキの財産、ローソレプリカの造形の素晴らしいモチーフが、DAEGの場合、昇華しきれていないような気もするのだった。
なに、これもオーナーになれば気にならなくなるような言いがかりに過ぎないことは分かっていた。
でも、、ZⅡを模したゼファー750のデザインはトリビュートとして素直に受け入れられたのに、
DAEGのデザインは、どこか、ガキっぽさを感じてしまうのだった。
それもまた、カワサキの魅力と言えばそうなのだが…。
こうして迷い悩んでいるところに、
MOTOGUZZIのV7Classicがリニューアルされるというニュースが入ってきたのだった。
(次回、「V7に決めたわけ」最終回。)
樹生さんこんにちは。
返信削除何だかバイクの好みが近い気がして書き込みをさせて頂きます。と言っても私には樹生さんの様な経験も技術も知識も無いので、「好み」のレベルは雲泥の差ですが…。
私は53歳の時に約25年ぶりのリターンをしました。その時に買ったCB400ssに1年程乗った後、今のCB1100に乗り換えて1年半ぐらいになります。
CB400ssは、車体が少し小さいのとパワーが少し足りないのと、あと高速道で不安定だなと感じていました。そんな時にレンタルでNC750Sに乗って「やっぱり大型だ」と思ってしまったのです。
CB1100に決めるまでに一時的に候補に上がったのは、MT-09、MT-07、V7ストーン、CB650F、ER-6n、ZRX1200ダエグなどです。V7はとても魅力的でしたが、残念ながらタンクの形が私の体にフィットしませんでした。
最後に迷ったのは、CB1100、NC750S、ボンネビル、W800です。試乗したりインプレを読みあさったりしながらこの4台をぐるぐる迷い続けましたが、CB1100用のK&Hのハイシートを見つけて心が決まりました。CB1100のレビューは、価格.COMに書きましたので、もし良かったらご覧ください。
先日GSX-S1000Fを試乗しました。とても良いバイクだと思いましたが、試乗後に自分のバイクで走りだしたとたん「やっぱり自分はこれだ」と感じました。まだまだ「乗る」と言うよりも、バイクに教わることの方が多い日々ですが、なるべく長く付き合いたいと思います。
モリシーさん、こんにちは。
削除価格.comのCB1100インプレッション、読みました。
モリシーさんの長身では、V7は少し窮屈だったかもしれませんね。
K&Hはブログでシートの開発状況もアップしてくれていますよね。
とても興味深く読んでいました。
青いCB、とても素敵ですね。
どうぞ、豊かなバイクライフを、CB1100と。
そうか! V7も「リニューアル」でしたね。
返信削除タイミングとか偶然(であり、それは「必然」なのか?)ってありますよね!
tkjさん、こんにちは。
削除そうなんです。偶然ってホント、あると思います。
だから面白いんでしょうけれど。
CB1100の実際のタンク容量は実は14.7リットルほどで公表数値よりも多かったりします。しかし街乗りしない自分の乗り方でも280キロほど走るのが限界です。また給油ランプがかなり早い段階から点滅するので落ち着かなくなりますね。このため長距離ツーリングはリッター50近く走るTWになってしまいました。
返信削除あと、見た目に反して重量が結構あり(現行車で244キロ)重心も高いので取り回すのが大変です。
自分は外見にやられて衝動買いしてしまったので文句を言う事はできそうもありませんが…
緒崎松蔵さん、こんにちは。
削除なるほど、オーナーにならないと分からないことも多々ありますね。
ありがとうございます。
私もV7は最後は外見で決まりました。
相棒選びって、もしかしてそれが一番の本質かもしれませんね。