春の丘、春の愁い。（３）

2016/5/15　8：47

国道452号線から道道135号線へと切り替えて、富良野市へ。
朝8時を過ぎて、市街地もにぎやかな感じ。
コンビニに寄って、ブリトーと缶コーヒーを買った。朝飯は食ってきたのだが、少し糖分とカロリーを補給してやる。
いつもはコンビニの駐車場の隅でほおばってしまうのだが、今日は食事をする場所を決めていた。
あの丘へ行こう。


富良野の街を抜けて、麓郷方面へ。道道２５３を行き、鳥沼公園の手前から山を登る。
昔はダートだったこの道も、今や快走2車線道路になってる。
ちょっと登ると、駐車場があるのだが、それが「ハートヒルパーク展望台ＰＡ」という名前になっている。
先着の車が2台。僕はまた、人を避けて、車から離れる。

2016/5/15　8：48

石のベンチの上に、ヘルメットと、さっきのコンビニの軽食の袋を置いて。
盆地の景色が美しく、山に残った雪もきれいだった。
腰かけて、いそいそと、ブリトーをかじり、缶コーヒーを飲んだ。

2016/5/15　8：52

樹々は芽吹きの時期だが、畑は既に耕起が始まっていた。
富良野の市街地よりも南側が見える。
いい盆地だ。僕の生まれた秋田県湯沢市のあった、横手盆地を思い出す。

2016/5/15　8：54

駐車場の芝生。タンポポがいっぱい混じっていて、黄色の花をいっぱい咲かせていた。
すらっとしたゆきかぜ。
うん、空の青にも、タンポポの黄色にも、似合ってる。

先着の2台は、すぐに出発していった。

残った僕ら。
でも、僕らもすぐに出よう。
道道２５３を、麓郷方面へ。進む。

この道は、本当に気持ちのいい道だ。適度なカーブ、適度なアップダウン。
そして変化のある、風景。
満喫しながら走っていくと、小学校の校舎のような建物と校庭が見え、ゆきかぜを止めた。

2016/5/15　9：07

ここは八幡丘会館。
廃校になった小学校が、地域の会館になっている。
大きな木、校庭の桜。
きれいな佇まいだ。
帰ってきてから調べて分かったのだが、この小学校、「八幡丘小学校」といって、1914年（大正3年）に始まり、1973年（昭和48年）の3月に廃校になっている。
その後、1981年から始まったドラマ「北の国から」で、純と蛍のきょうだいが通う小学校として撮影に使われ、「中ノ沢小学校分校」と名付けられた。今でもその看板は校舎にかかっている。

とってもかわいくて美しい木造校舎は、おそらく1931年（昭和3年）に町費で改築されたものだ。

昔の小学校の位置は、本当によく考えられている。その土地には、やわらかな空気が流れている。

2016/5/15　9：07

八幡丘会館の前から、畑の中を丘へ登っていく土の道。
あの向こうには、何があるのだろう…。登ってみたくなる道だ。
ゆきかぜと登ったかって？それは秘密。


さらに道道253号線を行く。
すると、富良野ゴルフコースの右手に、道は進み、やがて視界が開けて、富良野岳が姿を現す。
その大きな景色に、心を奪われる。

2016/5/15　9：１６

耕す農の風景。
やがて麓から山への境目から林が広がり、それは山肌に飲まれて行き、最後には、森林限界を超えて、岩肌をさらす。

おおきな風景の中で、人と、山とが、きちんと拮抗している感じがする。

美しい。

2016/5/15　9：１7

景色の中に、ゆきかぜを置いてみる。
道のこちらから見ると、手前のゆきかぜはとても大きく見える。

でも山の上から見ると、ゆきかぜは、とても小さな点だろう。

晴れ渡っていた空は、いつしか高曇りに。
それでも気温は少しずつ上がってきた。

富良野の丘は、美瑛の丘とは違う風景。

少しふらふらしてみよう。（つづく）