2016年5月26日

V7ハンドリングワークショップ(1)

さて、前回の続き、通勤ライディングでチェックした、ロール(傾ける)動きの実験について。

まず、実験前の大前提として、バイクは傾いて曲がるわけだが、ライダーがどんなふうにしてバイクを傾けようとするかによって、バイクは軽く感じたり、倒し込みがやたら重く感じたりする。
どんなふうに傾けようとするかによって、傾き方、傾きやすさが変わるので、自分がいま走っている道、走っている速度、これから数秒後に自分が「そうありたい」と思っている状態(=コーナリングプラン)などに応じて、傾け方もライダーは無意識に変えている。
それを、意識することによって、バイクの動きを理解し、知らずに無理にしていることがあれば、それを修正していくことができる…。
――というのが、実験をしていく目的となる…。





まず、やらなくてもわかるのは、フル加速しながら右に傾いていたバイクを左に傾ける。――S字を切り返すような動きをしようとすると、バイクは猛烈に重く感じる。

だから、レースなどでとにかく速く走る時を除けば、フル加速しながら一気に右→左に切り返すのではなく、一度加速しながらマシンが起きるのにまかせ、一瞬直立状態をつくり、直立した瞬間にアクセルを少しだけ抜き、加速Gからマシンを開放してやり、その瞬間に左に倒し込むようにする。
すると、慣性の塊と格闘することなく切り返すことができる。

または、速さをもっと捨てて切り返しの切れだけを優先させるなら、まずは傾いたまま旋回加速で切り返しポイントまで行き、そこで一気にアクセルオフ。
荷重が前に移る、その過程を逃さずに一気にマシンを起こす。
マシンが起きるときに荷重が抜けてそのままサスペンションが伸び切り、タイヤの面圧が抜けきってしまわないように、マシンに先行させてライダーの体重を左コーナー用に切り替えておき、マシンが起き上がってきたら迎えるように体重を載せながら左に切り替え、傾けていく。
一気に右→左にバンクを切り替えるこの走りは、それなりのリスクもあるので、見通しがよく、路面状況も把握できていて、ペースも限界よりも2割以上落としてするほうがよい。
この切り返し方に伴う体重移動は、パイロンスラロームでの連続切り返しとは少し違う方法なので、それなりの練習も必要だ。



おっとっと、実験でした。



まずは、安全な場所で直進した状態から、下半身全体でマシンをやさしくホールドしたまま、左右どちらかのハンドルを片手で<ちょん>、と弱く前に押す。
すると、その瞬間にV7はピクッと反応して、ハンドルを押した方に傾いてくる。

右ハンドルをちょんと押して、ハンドルを左に切る感じにすると、右に傾き、
左ハンドルをちょんと押して、ハンドルを右に切る感じにすると、左に傾く。

カウンターステアだ。

この原理について話すと話がさらに長くなるので、(こんな話は大好きなのですが…^^;)割愛。

この傾いてくる動きに合わせて意識して旋回を始めると、そのままコーナリングに入る。
直線路では、コーナリングしてしまうと路外に飛び出すので、意識は直進のまま。そこでまた「何かして」(無意識にいろいろして)、マシンを起こして直進を維持しますね。(少し蛇行したような軌跡になりますが)。

カウンターステアは他に何もしなくても、手で押しただけで、即座に弾かれたように車体が反応し、傾いてくるし、速くたたくように押すとぱっと傾くし、ゆっくり押し続けると、そのままぐうーっと傾き続けようとする。
とっても便利だし、簡単だし、手の操作は意識しやすく、フィードバックしやすいので、誰もがやりやすい。

でも、ライテクの本やDVDだと、主たる操作としては推奨されていない。
むしろ、「絶対しない」、「やってはいけない」としているもののいくつもあるし、今はそれが主流だろう。

人為的にハンドルをこじり、自然舵角を妨げて、バランスさせず、傾きに対してハンドルを外に押すことによって、車体が倒れ込んでくる…というやり方は、フロントのグリップを無駄に消費しており、マージンが少なくなるほどに危険になるからだ。
速度が遅くても、道路の凹凸、路面の砂、荷重の抜け、などとカウンターステアのタイミングが不幸にあったりすると、いきなりフロントから転倒することもある。この転び方は、リヤからのスリップダウンよりも転倒のダメージが大きくなる。
それに公道での転倒は後続車や対向車に轢かれたり、歩道を歩いていた人に突っ込んだりという、悲惨な二次被害も引き起こすことがあるので、極力避けなければならない。
だから、カウンターステアで曲がる「癖」はつけておかないほうがいいのだ。

ただ、仮にいかなる場合もまったくそれを一切使ってはならないとしても、ハンドルを持って乗車している以上、なんらかの入力を、意図に反しても結果的にライダーはしてしまっているものだ。

安全なところで、極軽微な範囲に限定し、慎重に、速さ、かける時間、幅、などを、いろいろ実験してみると、いかに自分が、普段していないつもりでしているかが自覚できる。

これは、確認のための実験だ。

ただし、くれぐれもやりすぎないように。
公道上でなく、万一転倒しても被害が最小限に済むような場所(例えば教習所のコースのようなところ)で試すのがよい。
間違うと転倒するし、悲惨な事故になる。
乱暴な入力は絶対に禁止だし、この方法は本来のステアバランスを崩しており、旋回能力の限界を下げる行為だということも、忘れてはならないのだ。


ありゃ、予定よりも長くしゃべってしまいました。
続きは次回に参ります。
ステップ荷重に関する実験です。

6 件のコメント:

  1. 私はへたっぴですがカウンターステアは面白くちょくちょくやっているように思います,,,。そっか、あんまりやっちゃいけないんですね。やはり意識して(目線や体のポジションなど)普通にうまくライディングでき、もっと楽しめるようになりたいものです。

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    1. ルイさん、こんにちは。
      バイカーズステーション誌でのBMWのF650のインプレッション記事で、ハンドリングはカウンターステアの操作をすることを前提として設計されているという試乗したライダーの言葉を掲載していました。(もう10年以上も前になりますか…)
      普通のペースで、普通に走らせる中でなら、そんなに危険なこともなく、それに楽ですから、よっぽど意識している人でないと、誰もがその人なりに、カウンターステアは使っていると思います。
      ですからやっちゃいけないというほどではないのですが、ペースが上がってきたり、路面の状況が悪くなって来たりしたときに、倒し込みのメインの操作に据えていると、けっこう危険かと思います。
      場合に応じて、安全を確保して、いろいろ楽しめるのが一番だと、考えています。
      僕も無意識に、やってないつもりで結構やっていたのだと、今回気づいたわけですし…。

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  2. takaです
    カウンターステアの考え方、同じですね。
    「こぜる」操作は「負荷」が何処かに掛かるんですよ。たぶん(^_^;)
    カウンターステアの挙動が有効だった経験は、あります。
    ゼファー1100で走り込んでいた道の、タイトコーナーの切り返しです。コーナー間にストレートが無いような。
    体重65kgの私ですが、フルバンクの切り返しをするのは、楽しいけど大変で。
    ゼファー1100は車重250kgオーバーで、フロント18リヤ17のタイヤサイズなので、重く、「立ち」も強めです。
    この「立ち」の強さを逆手にとると、向き変えが終わって、まだフルバンクに近い様な状態でフロントブレーキを「ちょん」と掛けると、バンク側にステアが軽く入ると同時にバンクしているバイクが起きてきます。
    そこで、体も入れ換えるのですが…

    ってな、時だけでした。
    カウンターステアは、フロントを「すくわれ」そうになるので、好みません。

    次のステップ荷重も、楽しみです♪

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    1. タカさん、こんにちは。
      フロントブレーキを当てることで車体を起こす。これもありましたね。
      これも程度を越えると即転倒の危険もあり、でも、適度ならとても理にかなった方法。
      雑誌やDVDのメディアでは、いろんなスキルの人が見て、自分なりの理解をし、
      自分なりのトライをしてしまうので、そのレベルに合わない人がいきなりやると、かえって危険で、だから、推奨されていない。
      そういう技術がたくさんあると思います。
      直接教わるというのは、そうしたバイアスがかからない状態でのことなので、緊張感も増しますが、それが一番、身になるのでしょう。
      あくまでライディングは自己責任。最近いろいろ言われすぎてる意味ではなく、本来の意味での、自己責任。
      その責任を自分が持つ誇りと喜びを味わいながら、ライテクも少しずつ、トライしていきたいと思います。

      ステップ荷重、もう少しお待ちください。

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  3. 新しいシリーズが始まったのですね
    楽しみにしています

    私は低速パイロン系の練習をしてますが、逆ハンは車体がバンクしているが少しでも速く切り返したいときに使いたいテクですね(難しいですが)
    コーナー曲がり方ではじめて試したのは根本さんがなにかの本で紹介していたテクでした。
    バンク中またはコーナー手前で荷重を入れ替えてコーナーポイントでブレーキを抜いて一気に曲がるってあれです (^^ゞ

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    1. KEICさん、こんにちは。
      新シリーズというほど体系立てる気持ちはなかったのですが、もしかして、少しだけそうなるかもしれません。
      パイロンスラロームでやるときは、起こすときにハンドルを増し切りするようにして、車体を立てるきっかけにし、それがちょうど次のロールへの逆ハンになっているという塩梅ですが、フロントタイヤのグリップがいいこと、フロント荷重が高いこと、路面状況がコースのように平坦であることが条件になりますね。
      他のいろんな動作と連動させてやることになると思いますが、白バイ隊員も多用しているようですね。

      「向き変え」ですね。
      根本健氏は1985年の時点でもう言っていました。
      他のバイクジャーナリストの違って、ひとり、
      違う方法論を当時提唱していましたね、

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