2016年5月20日

春の丘、春の愁い。(5)

富良野から、美瑛へ。
上富良野町の市街地を抜け、道道581号線で千望峠を越える。

2016/5/15 10:30

眼下に上富良野町の町。遠くに、大雪山系。
右端が旭岳、前富良野岳。右側で一番高いのがきっと富良野岳。
十勝岳、美瑛岳…と続くのだろう。
山登りする人なら、間違えることなく山の名を唱え、指さし、そしてその山頂付近に広がる、真夏だけのお花畑の素晴らしさを、きっと知っているだろう。

僕は山登りはしない。

しないと決めているわけではないが、どちらかといえば、眺めている方が好きだ。

気温が上がってきた。
もう寒さは感じない。
高曇りの空。


峠の展望駐車場に、バイクが2台、上がってきた。
黒のクルーザータイプ。ライダーの上下黒の2人。
男女のカップルだった。

僕から離れたところにバイクを止める。
僕のいる場所の方が眺めがいい。

…もう、僕は十分見たので、そうそうに撤退することにする。

千望峠を越え、587号線を北上。
道道70号線に合流して、上富良野、美瑛の裏側を北上していく。


二股日進、二股高砂を越え、瑠辺蘂榮進會館方面の細い道に入る。


2016/5/15 10:46
丘の上、高台を行く。
稜線の向こうはいくつかの谷と丘を隔てて、美瑛だ。
樹が、風に吹かれて同じ方角に傾いて育っている。

2016/5/15 10:46
今からあの木の手前の谷を行く道に入るのだ。

どんな風景が待っているのだろう。

見晴らしがよかったり、谷の底だったり、バイクで走ると、刻一刻と、風景が変わる。

今日は、メジャーな美瑛の丘の方へは寄らない。

五稜と呼ばれる、少し離れた、高い丘に登るのだ。

道道580号線を行き、国道452へ。
そこから南へ行くが、この国道452はまだ通じていない。途中で道がなくなるのだ。
その手前で五稜に登るのだ。

小さな神社の前を過ぎ、五稜の丘の上を走る。

2016/5/15 11:12
また、見晴らしがよかったり、林の中だったり、を繰り返しながらしばらく進むと、森が切れて、開けた場所に出た。
思わず停まる。

「ここだ。」

今日は、ここを訪ねるために来たんだ。こんな場所があると、覚えていたわけでもないのに、この場所がしっくりきた。
そうだ。ここに来るために、走ってきたのか。僕らは。

2016/5/15 11:12

美瑛の丘が遠くまで続いている。
下りていく道が見え、大きな桜の木が見える。


2016/5/15 11:14

今、振り切った森の彼方には、あれはたぶん、富良野岳だろうか。

風が吹き抜けていくのが気持ちいい。


2016/5/15 11:14

 向こうの丘に見える、白い三角の建物は、美瑛の「北西の丘展望台」だ。
かなり高いとこへ登ってきているのがわかる。

短時間でここまで登るのは、さすがに自転車では無理で、バイクならではのトリップだろう。

2016/5/15 11:15
変えたハンドルポジションも、おおむね良好。
気温が上がってきて、虫が飛び始めている。

そう、田舎には、虫もいるし、田舎の匂いもある。
風景の中に立つのは、映像で見るのとは、根本的に違うのだ。

気が付くと、ちょっと耳鳴りがしている。
全身をほぐして、ちょっと体操だ。
ジャケットも脱ぐと、ウェアと体の間を風が抜けていくのがとても気持ちいい。

思ったよりも疲れている。
日々の疲れの蓄積が大きすぎて、走りですべて抜くにはいたらないのだ。
今度は身体的な疲労が襲ってくる。

さあ、疲れすぎないように。ここからは帰り道。

この丘の風景と、風に、感謝して。
ここから帰路をスタートしよう。 (つづく)

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