2017年4月17日

メッツラー「スポルテッククラシック」走行感とリヤサス調整。


4月16日日曜日。北海道は晴れて暖かく、最高気温は札幌で17℃の予報。
午前中、少し走りに出た。
新しいタイヤの具合も、確かめてみたい。


V7Special、僕のゆきかぜ号のタイヤは今回の交換で
前、メッツラー レーザーテック、
後、メッツラー スポルテッククラシック
になっている。

交換してもらって、バイク屋さん(ズームさん)から自宅までと、先週の日曜日の午後の散歩で50kmくらい、合わせて70km弱走った。

印象は前回も書いたが、タイヤが存在を主張しない、黒子に徹するタイプで、安定性があり、乗り心地もいい。
切れ込みなどもなく、クイックさはないが、妙な重さもないし、バイクを傾けていく過程での安心感が大きい。

ただ、ほんの少し依然と比べると、フロントの舵角が入らない感じで、径の大きいタイヤに乗っているような感覚だった。と、いっても、四つ角も自然に曲がるし、カーブでも手放しで曲がり、(実際に手放し運転はしません。)ハンドルを保持する必要がないニュートラルなステア特性はしっかり維持していて、とても優秀だ。

しかし、少しだけ舵が入らないために、以前に比べるとバンク角で曲がる感じになっている。
この差も微々たるものなのだが。
もしかしたら、リヤの外径がレーザーテックのリヤよりも小さいのかもしれない…。
そんなことを思ったのだった。

V7のサスペンションでいじれるのは、リヤのスプリングプリロードだけ。
元々、買ったときはプリロードが17mmくらいだった。
それを23mmにしたのが、2013年の10月。
この記事だ。「23mmの落ち着き
そして11月、いろいろいじってみて、23mmに落ち着いたのだった。
リヤサス プリロード調整(小春日余禄)

さて、今回は舵の入り方が、その時のプリロードが小さいときと同じような症状に感じる。
サスペンションのプリロードではバネの硬さは変わらない。サスが沈み始める荷重の値が変わり、乗車中の姿勢が少し変わるのだ。(加えて、リバウンド側の動きが変わるので、乗り心地が変化する。)

今回はまず、そのまま走り、ハンドリングを再確認してみた。

調整前。右23mm。

調整前、左22.5mmになっていた。



札幌市内から小樽市へ、毛無山の峠を少し上がってきたが、やはり舵のは入りが少なく、わずかだがバンク角が深い。そして、若干アンダー(フロントが外へ行こうとする)傾向だ。これは分かりやすく、バンク角を扱うことに徹してフロントの舵を忘れさせるので、安全でもある。曲げるときには意識して曲げていく、そういうハンドリングだからだ。

しかし、若干バンクに対して旋回力が足りない感じがしないでもない…。
そこで、安全なパ―キングで、リヤサスを締めてみた。

右24mm。左の写真は失敗でした…。(><)
わずかにナットを180度回しただけだが、これでハンドリングは変わった。


姿勢が締める前と比べると、前の高かったのが普通になったように感じ、
バンクさせると、舵が入って、バンク角は浅くなった。(わずかな違いだが。)
しかし、切れ込みなどはなく、カーブでも両手離しが可能(しません)。

タイヤ交換前のハンドリングに近くなったように感じられる。

しかし走っていくと、どうも舵角が入ることに体のどこかが緊張している感じがする。
よく曲がるしよく走る。
乗り心地も悪化していない。
しかし、舵角で曲がる感じが、なんとなくだが強すぎる感じもある。

峠を走り、下りのコーナーのところだけ、少しペースを上げてみた。
といっても、飛ばすという感じではない。ツーリングペースなのだが。
ハンドリングは速度を上げても急に変化することなく、いい感じ。
タイヤのグリップ力も十分で、まったく滑るような不安は感じない。

道の駅につき、少し休憩する。
数値では1mm程度の違いなのだが、ハンドリングに違いが出た。
帰路はこの中間にしてみた。
つまり、180°締め込んだナットを90°戻す。

左はメモリで24mmのままだが、これは定規の当て方が下手くそなせいもあろう。
90°戻しに間違いはない。


右は23.5mm程度になっている。これは数値としても納得。
わずかこれくらいで違いが体感できるのだろうか。


走ってみると、なんと違いは明確。
特性はちょうど中間的で、バンク角主体で曲がるが、フロントタイヤが無理なくさっと追随してくれるので、バンク角が深くなり過ぎず、もっとも安定して旋回できた。
手離し(しません。)の安定性も一番だし、最初の時よりもカーブの中でもうひと寝かししてラインを内側に入れるときに、変にバンクが深くならず、フロントの舵角に無理な感じもせず、一番自然な感じがした。

これでいいだろう。

それから自宅まで、峠や市街地、街の四つ角など、いろいろ走ったが、自然なハンドリングに満足。
肩も凝りにくく感じた。

しばらくはプリロード23.5㎜で行こう。

*この記事での「プリロード」は、リヤショックボディに刻まれているネジ目の端からどれだけ締め込んだかで書いているので、本当のスプリングプリロード値ではなく、簡易的、便宜的なものである。ご了承願いたい。

さて、楽しいツーリングが終わって、自宅についてからタイヤを見てみた。
フロントタイヤはメッツラー、「レーザーテック。」
新品から約150km走ってのものだ。
上の写真は右サイド。下の写真は左サイドである。

ツーリングペース。フルブレーキング、フル加速はせず。
カーブでもそんなに攻めていない状況だ。
中央部の「ヒゲ」の痕も完全には消えていない。
家の前の埃っぽい道を走って帰ったので、トレッド表面があまりよく見えないのだが、
車重が軽いことも影響しているのだろう。
全体的にさらっとして、われ関せず撮った表情をしている。
溝をみるとわかるがサイドのエッジ近くでは溝の数が4分の3に減ってその分接地面積があがるようになっている。
今回は攻めていないので、フルバンク時や、高速で荷重をかけた旋回をしたときにエンドグリップがどう感じるかは、まだレポートできない。
しかし、以前もフロントタイヤはメッツラーレーザーテックだったので、印象は変わらないし、エンドグリップもV7には十分あると考えられる。

さて、リヤのスポルテッククラシック。
走行してのインプレッションを。

まずデザイン。
クラシックのという名前だが、パターンは結構モダンだと思うのだが。
写真だと、中央付近が大きめのRでサイドはRが小さくなっているように見えるが、
全体的なラウンドな、均一的に丸い感じだと思う。

レーザーテックからの履き替えでも乗り心地は硬くなく、むしろいい方だと思った。
直進路ではそんなにレーザーテックと印象は変わらないが、カーブだったり、トラクションをかけて走るとその印象はレーザーテックとは違った。

レーザーテックの場合、タイヤが微妙に動きながらグリップしている感じがしたが、
スポルテッククラシックは接地面のブロックが大きいせいか、動いている感じがしない。
踏面にゴムの柔らかさは感じるのだが、左右や前後にうにゅうにゅと動く感じがしないのだ。これはラジアルタイヤの感覚に少し近いと思う。

荷重がかかったときの感じは、路面に「食いついている」感じで、大きなグリップ力を感じる。そのため非常に安心感がある。
滑る気がしないのだ。
サスをいじる前、1mmかけた時には、バンク角と舵角の関係が変化し、ハンドリング全体としては変化を感じたが、リヤのグリップ感については同じで、変化がなかった。

しかし、90°戻して23.5㎜になってみると、タイヤがくいついている感覚はそのままに、コーナリングでリヤタイヤが外側に回り込んでくるような感覚を受けた。
つまり舵角がついたフロントとの内輪差を小さくするような方向で走るということだ。
これはフロントにも負担がかかりにくく、「両輪で曲がる」感じになる、好ましい方向だ。
やはり23.5mmは正解だったようだ。

右サイド。
タイヤ温度はそんなに激しく上昇するタイプではない。
もちろん暖かくはなる。しかし、融けて張り付くようなグリップ感ではない。
さらっとしていて、熱は入るのだが、まだ知らんぷりという感じだ。


左サイド、今日はフルバンクもしていないし、フルトラックションもかけていないのだが、峠の左ヘヤピンではエッジ近くまで設置してしまったようだ。
空気圧は2.6kで、規定値の2.5より少し高めだから、空気圧不足でタイヤがへこんで設置したのではない。
フルトラクションではないが、溝のエッジの部分は荷重がかかる方向にわずかにささくれているようだ。

機会があれば、もう少し高速でのコーナリングや、パワーバンドで全開したときのタイヤの状態などもレポートしたい。

今のところ、このタイヤの組み合わせは、ライダーに気を遣わせず、安定したグリップ力で疲れずに長距離、長時間、さまざまな状況の(雨も含んで)道を走るのが得意なタイプ
だと言えると思う。
リヤのスポルテッククラシックは、レーザーテックよりも「走り(の楽しさ)」に振ったタイヤだと言えるかもしれない。
僕の腕では、このタイヤのグリップ力を引き出しつつブレークしかけるところまで追い込んでのレポートはできないかもしれないが、V7の通常使用においてこのタイヤの性能からすれば、それは不要なのかもしれない。

ただ、やはり限界でどういう動きをするかを理解していた方がいざというときに安全…などと言い訳を考えながら、ライディングのリハビリを始めたいと思っている私なのだった。

4 件のコメント:

  1. 新品タイヤいいですね~。樹生さんらしいインプレです。プリロード調整での追い込みかたが、きめ細かいです。
    また其れを体感して表現する感じはテストライダーみたいですね!
    もしかしたらトレッドの変形まで感じ取れるんじゃないかな?
    繊細な操作が伝わってきますね!

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    1. いちさん、こんにちは。
      V7のサスはフロントは調整できるところがなく、
      リヤのサスもプリロードしかいじれないので、
      唯一いじれるところをやっていただけなんですけど。
      (Fフォークの突き出し量の調整はできますが、基本手を付けない方針です。)

      そこにばかり集中して、いろいろいじっていると、気になるみたいです。
      調整してしまって、普通に乗っている分には、何にも意識しないのですが、
      そういうふうに意識させない、自然な感じ、全然邪魔しない感じに
      仕上がってくれるといいなあと思っています。

      ライダーの筋力とか、余分な脂肪を落とすリハビリをしなくてはいけないというのが、
      現実ではあります…。

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  2. スポルテック・クラシック、非常に気になっていたタイヤですので、インプレ大いに参考になります!
    私は最近フロントもBT-45に換装しましたので、このタイヤが終わったらスポルテッククラシックに替えたいですね。問題はフロントが手にはいるかどうかですが・・(アマゾンでもリアは有りますがフロントは無い)
    先頃すり減ったBT-45のフロントを見ると、ノコギリ状に摩耗していました(ブロックごとに斜めになっている)。なので、ブロックの小さい形状より、このタイヤのような物の方が良いのではないかな・・などと素人考えに浸っておりました。ネット上には、Zオーナーのインプレが1件有るだけで、詳しいインプレはこれが最初ではないかと思われます。BTでは、リアが滑る感覚が有り、いまいち安心して乗れません。乗り心地も悪くないとの事、大いに購入意欲を後押ししてくれました。

    また、追加のインプレも期待してますね。

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    1. 小五郎さん、こんにちは。
      フロントとリヤで別の銘柄を履くのは初めてで、気持ち的に違和感があったのですが、
      実際に走ってみると、V7の場合は「あり」かなと思いました。

      まず、リヤ荷重が大きく、リヤで曲がっていくクラシックなハンドリングのため、
      フロントに回内力はそれほど必要でなく、直線時のブレーキングが安心してかけられ、
      ある程度の強さを持っていれば、あとは絶対的なグリップよりも「わかりやすさ」の方が
      大事だということ。そしてフロントは従輪として素直に軽快に首を振ることが求められること、
      対してリヤは、しっかり旋回力も発揮できて、しかも雨などの悪条件に強いこと、
      などがあげられ、その前後バランスがこの銘柄違いに意外とフィットしているのではないか…。
      …「結果的に」これはありかもしれない。と思ったのです。

      現代的な車体なら、この「アンバランス」は「なし」かもしれません…。
      …スポルテッククラシックのフロントを試してもいないので、
      まだまだ断定的なものいいができる段階ではありませんけれど…。(^^;)


      いまのところ、ウェット路面でも不安はありません。
      もう少し負荷をかけてと、バンクを強めての強めのコーナリングのテストを
      もしも晴れたらこの週末にやってみたいと思っています。

      ライフはどうなのか、これもおいおいレポートしたいと思います。

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