2016年5月15日

V7に決めたわけ。(5)

MOTOGUZZI V7 Classicのデザインは秀逸だったと思う。

V7に決めたわけ。最終回。





白黒写真で美しいバイクは、カラーでも美しい。
…といっても、このV7Classicは基調が白だから、それほど劇的には変わらないのだが。








雑誌等によれば、ツインの鼓動感は、W650(800)、トライアンフボンネビルなどと比較しても一番明確で、ツインらしい鼓動と表情らしい。

そしてハンドリングは各紙絶賛。
日本仕様がわずか40psでも、ワインディングでは相当に速いとのことだった。

候補として考えていたところに、V7のモデルチェンジのニュース。

まず、エンジンがかなりリファインされた。
シリンダーヘッドの形も変わり、これなら転倒一回でプラグキャップが飛び、走行不能になることはなりそうだ。

出力も50psと、日本仕様としては10ps、20%もアップし、しかも最高トルクの60Nmは、2800rpmという低回転で発揮する。

インジェクションシステムも変更。
サスペンションも変わり、各部が変わっている。
しかし、全体の印象としてはV7そのもので、ほとんど変わっていないのだ。





機種はキャストホイールにタンクが淡色の「ストーン」と、
スポークホイールでタンクがツートンの「スペシャル」、そして「レーサー」の3機種展開になった。
「カフェ」は廃止されている。

注目したのは、クラシックの時は樹脂製で17ℓ入りだったタンクが、鉄製になり、22ℓになったことだ。
さらに燃費も改善されていると言う。

田舎の裏道をつないで長距離を走ることの多い僕にとっては、願ったりの変化だった。
ほぼ決定かと思っていたCBを断念したのも、タンク容量の少なさゆえだったのだから。



もしかしたら、ワンタンク400km近く行けるかもしれない。
そこまでしなくても、300kmは固そうだ。
それだけ走れれば問題ない。
あとは、評価の非常に高かったクラシックからの変化だ。


各誌のインプレッションを読み漁ると、エンジンは元気になり、低速も太くなって、より、きびきびと走れるようになっている他、扱いやすさもかなり向上しているとのことだった。


 そして、この色。

結局、この「ゆきかぜ」カラーは、2013年1年間だけの色となった。

僕はバイクも、ウェアも、この25年間くらい青色をベースに選んできた。
普段の服も青が多いので、僕のパーソナルカラーみたいなものになっている。

最初のバイク、DT50も青色だった。
でも次のバイク、僕にとって初めての自動二輪車、GPz400F-Ⅱは黒。そしてウェアは赤と白。
僕をライダーとして育ててくれ、僕がバイクで必死に走って、いろいろ考えた、その時期は、僕のバイクのカラーは黒と白と赤だったのだ。

GPZ1100を手離なければならないなら、いろいろ変えたいと思っていた。

水冷4気筒から空冷2気筒へ。
フルカウルハイスピードツアラーから、ネイキッドへ。
ならば、マシンの色も。

もし、V7Specialがこの白赤の塗り分けでなかったら、もしかしたら僕は買っていなかったかもしれない。



そして僕は、このリニューアルしたV7を、試乗どころか現車も見ずに指名買いしたのだった。


僕はどうやら、自分に向いていないことを仕事にしてしまったらしい。
仕事について30年以上経つが、いまだに違和感がある。そして、いつも行き詰っている。
いちおう仕事としては成立しているのだが、いつも精神的にぼろぼろになってしまう。
いや、それは、仕事のせいではなく、僕自身の精神性の問題なのかもしれない。
いや、そもそも仕事とはどんなものであれ、そういうものなのかもしれない。

しかし、僕は、バイクで走らないと、とても自分を支えきれないのだった。
どんなに家族が理解してくれても、どんなに職場の同僚が気遣ってくれたりしても、
僕はいつも、仕事に対して「ここじゃない」気がしている。

なんとか日々を保ちながら頑張っても、何年かに一回、自分のあり方をリニューアルしないと、仕事が、生活が、続けられない。

我ながらやっかいな性格なのだ。


GPZが経年変化で故障し始め(エンジンは全く快調だった。)、メーカーのノーマルパーツの在庫が切れ始め、僕の財力では維持が難しくなってきていた。
(2008年頃から、毎年、20万円以上の維持費がかかっていた。)

50代になり、自分の仕事のありかたも、また大幅な変化を迫られてきていた。


もう一度、原点へ。

裸のバイクで、雨風を受けて。
どこへでも、この一台で。
そういう基準でバイクを選んだ。
そして、今も譲れないもの。
コーナリングの手ごたえ。

それを最大限生かした選択を。
本当はもう一つ、絶対的な条件がある。予算の上限だ。
今回はローンを組まないと決めていた。
現金で払える額。それとして家計が許せる額。


すべてを満たす、すがすがしいバイクがあれば、それが僕の愛車になると、考えていた。


白赤のV7Special。

写真を見た時に、これは、と思ったのだった。
まさかカラーリングが最後の決め手になろうとは。


僕の手元に来る前から、僕はひそかに、名前を決めていた。
でも、会ってみて、本当にその名前がふさわしいか、北海道の風景の中を、僕が跨り、走り、試してみるまでは、名付けられないと思っていた。



雪国、秋田の生まれの僕。
輝くガラスのような白とは違って、雪のようなV7の白。

2103年、6月9日。

羊蹄山とニセコの山々の麓を走り回って、決めた。

ゆきかぜ。


ゆきかぜは今日も、僕のとなりにいる。

14 件のコメント:

  1. 樹生さんブッ飛んでます\(^o^)/奥様も寛大ですね(^^) 勇気とか不安、手元にくるまでのドキドキワクワクってありませんでした?なんか羨ましいです。

    返信削除
    返信
    1. たけさん、こんにちは。
      実は歴代の僕のバイク、最初のDT50を除いて、すべて一度も現車見ないままの指名買いです。
      車は必ず試乗して、レンタルして調べることもあるのに、バイクはなぜか気合というか、カンで決めています。別にそういう主義じゃないんですが、そうなってしまいました。
      毎回、不安がありますし、手元に来た時に「あれ?」と思うこともありますが、付き合っているうちにだんだん付き合い方がわかって行く感じです。
      細心のようでいてなんか適当なんです。運まかせというか、そういうところもあります(^^;)
      まあでも、そんなもんかな…と。予めすべてを知ることは不可能なわけですから。

      削除
  2. いま、何を、どれくらい 自分は求めているのか?
    じっくり考えて、ブレない「軸」を持つ。
    あとは、いざ跨がってみて、しっくりくるか?

    そのくらいかな。バイク歴長いと「勘」も効くし。

    じっくり考えず、すぐブレちゃう人・・・
    周りでも少し居ますが、乗り換えが早いみたい。
    ・・・お金も余ってるのかもよ?www

    返信削除
    返信
    1. tkjさん、こんにちは。
      わりと、カンってあてになるような気がしているんです。
      僕の場合、長く乗る理由の最大のものは、
      本当はお金がないからかもしれませn…(^^;)
      100億ぐらいあったら、bimotaとか、きっと買いたくなります。
      RC213V-Sはさすがに、たとえ100億持っていても、
      乗りこなせないのに買ったら申し訳ない気がして手が出ないと思いますが…。

      削除
  3. イタリア国旗の赤と白をメインカラーに持ってくるのは予想出来ましたが、何処をツートンにするのか絶妙
    な分け方です。こういった視覚に訴えるモノの造りは
    上手ですね。
    決め手が此れだったのですね~(笑)
    ハーレーや国産の造形と比較すると華奢な感じですが
    そこがいいところです。
    V7は乗った事が無いですが、きびきび走りそうですね~。軽いと言うのは操縦が楽ですし、楽しそうです♪

    返信削除
    返信
    1. いちさん、こんにちは。
      水平に一本、横線だけの塗り分け。シンプルであまり強い意匠を感じさせないところも
      気に入っています。
      バイクって「男」をイメージさせるものが多いんですが、これはユニセックスな感じで、
      男が乗っても、女が乗ってもいける感じです。
      あまり強そうに見えない、というのもよかったです。
      僕自身がわりとうざったいというか、暑苦しい男なので、バイクはさらっとしている方がいいと
      思っています。
      そして、実は、相当に速いですよ。うまく走らせられればですけど。
      またまだ下手な私です。

      削除
  4. takaです
    順番に、読ませて頂きました。
    思い入れが、良く伝わりました。

    私のSR選びとダブる考えが多く、色々と思い出しました。

    私の場合、「もし、予算があれば」って考えると、SR400FIを500CC化し、500にバランスしたサスとブレーキにしたいです。
    より、個性を濃くしたいと(笑)
    ちなみに、私のSRは白です。
    黒や赤が多いですが、走る白いSRを見て惚れました。
    個人的な思い入れですが、SRは田舎道や城、寺院に良く似合います。
    V7も、日本離れした北の大地が、良く似合ってますよ(^_^)

    返信削除
    返信
    1. takaさん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      SR、私の場合は具体的な候補とまでは上がりませんでしたが、
      とても魅力的なバイクだと思います。
      その中でも白は、私も広告やwebの写真を見て、もしも買うならこれだな、と思っていました。
      個性を上げるためのカスタム、それも魅力的な世界ですね。
      僕もいつか、V7をそういう方向でもカスタムしたいです。
      まず、お金ですが……。^^;)

      削除
  5. 私の場合もカラーリングは大きかったと思います。一目惚れですね。はじめはXJR1300に目をつけていたのですがR1の乗り換えは長男が昨年末に生まれましてそれにともないバイクを降りるか、あるいはパワーダウン、スピードダウンするかでしたので結局XJRの100馬力近くも公道を法定速度でとなるときっと有り余りストレスになるだろうと諦めました。その後テネレ660、ストリートトリプル、ボンネビルと見て回りましたがトレイルはシート高についていけずトライアンフは私にはなんと無く優等生過ぎのような気がします。それからV7にはまって行くのですが、まさか自分がイタリア車に乗るとは夢にも思っていませんでした。10代後半に乗っていたホンダのスティードが同じ青白のカラーリング、XJRしかりで、もしかしたら猫も杓子もでないちょっと違う味のある(コストパフォーマンスも勿論ですが)青白の単車に乗りたかっただけかも知れません。

    返信削除
    返信
    1. モトグッツィのV7のカラーリング、どれも私にはなんかグッときます。
      青白の青色もありそうで、なかった青ですよね、そしてとても美しい。
      ほんとに粋だなあ、と思います。
      バイクの外見ってとっても大事だと思います。
      スペックもあるけど、ぴぴっとくるかどうかって、やっぱり大事だと思うんです。

      削除
  6. 「classic」の「僕」は、どうしてGSR750を選んだのでしょうか?

    返信削除
    返信
    1. モリシーさん、こんにちは。
      うう、未完のまま放置している「classic]
      僕がツインでなく、水冷、直4DOHC、GSR750を選んだのは、
      ツインの「味」や温かみ、「鼓動」などというものを不要とし、
      空冷の人間的なレスポンスというものにもひかれず、
      ピュアに、まっすぐ、トータルとして性能のいいバイクを作った、
      そのスズキの誰にも媚びない姿勢に、
      自分でも気づかないままに惹かれたからでした。

      本当に極低速で粘るのは、シングルでもツインでもなくて、マルチエンジン。
      そしてそのまま超高回転域まで一気に付吹け上がる。
      本当に正直で誠実な人間は、冷たい人のように見えるときもある。
      そしてGSRには、空冷ツインにはない「若さ」があります。
      後先を考えず、純粋に、駆けてしまう。ダッシュする。その潔さ。
      純粋ゆえに深く傷ついた「僕」に、ぴったりのマシンでした。
      函崎のV7ブランカとの本気のランデブーで、ふたつの個性がぶつかり合って、
      そのとき、はじめて僕は「classic」(=正統)の意味を知るのです。
      ああ、超長い間休んでますが、いつか、続きを書きたいです。
      まだ、放棄したつもりじゃないので。
      モリシーさん、ありがとうございます。

      削除
  7. V7のデザインを見るとイタリア人の粋を感じてしまいます。
    どうもトラやWは煌びやかで、なんというか、気圧されてしまいます。
    ハーレーなんかはその最たるものですが…(笑)
    そのあたり、ホンダのCB1100はいかにも実直でかつ洒落ていて僕は好みです。

    ネオ・クラシックと分類されるのでしょうけど、V7はオートバイのスタンダードに近いようなデザインに感じます。
    必要以上の装飾がなくて各機能シンプルで美しい。SRもそんな印象を受けます。
    立ち姿が凛としていて風景に馴染んで、ホントにステキだなって思うのです…^^

    返信削除
    返信
    1. 金田慎さん、こんにちは。
      SRのすごいところは、1978年発売当時は、もちろん懐古的な気持では全然なくて、オフ用のシングルエンジンでロードスポーツを作るというコンセプトで作られたスポーツモデルでした。
      それを、ずっと基本設計を変えないでスタイリングも変えないで、作り続けているわけで、ネオクラシックの持つ懐古主義とはデザインが違うわけですね。

      対してV7はブレバ750というモダンなシティコミューターの外皮を、1972年の自社のスポーツモデルV7sportに近いものをかぶせかえたもので、これは明らかにW650が切り開いたネオクラシックカテゴリーに、マーケティングの都合から参入してきたものです。

      それでも、素のバイクのように見せてしまい、そして走りもちゃんとそうなっているのは、
      ZⅡに対してカワサキの作ったゼファー750を思い出させます。
      あれもいかにも真似したデザイン意匠でありながら、バイク全体として非常にバランスのとれた名車となりました。
      なまじごまかさず、「そう、我々のビンテージモデルに敬意を持ち、そのモチーフをいただいて、現代にそのマシンを作り直すのだ。」と開き直るほどの自社愛を持っているということが、逆に強さ、良さになっていると思います。

      削除