MOTOGP 2022 ホンダのマシン、少し細かいところを見て行こう。
写真出典はすべて、MOTOGPオフィシャルサイト。
マルケス選手の写真のみ、バンク角が深く、エスパルガロ選手と中上選手は立ち上がりに向けての部分だが、まず、3人のフォームが、それぞれ違いはあるにせよ、たとえば、1980年代初期(また古いな!)のケニーロバーツ、フレディー・スペンサー、クリスチャン・サロンの頃の選手毎のフォームの違いに比べると、だいぶみなに通ってきていると言える。
マルケス選手の写真のみ、バンク角が深く、エスパルガロ選手と中上選手は立ち上がりに向けての部分だが、まず、3人のフォームが、それぞれ違いはあるにせよ、たとえば、1980年代初期(また古いな!)のケニーロバーツ、フレディー・スペンサー、クリスチャン・サロンの頃の選手毎のフォームの違いに比べると、だいぶみなに通ってきていると言える。
昔のGPはプライベーターも参加し、レース中に周回遅れも多々存在していて、その処理が勝敗に影響したりもしていた。マシンも、走らせ方も、違いが多くあり、優勝者は数十秒も後続を引き離して独走優勝ということも珍しくなかった、
今や、MOTOGP決勝はかつての125㏄のレースのように、抜きつ抜けれつの激戦。予選でも、前戦の優勝者が次戦の予選でTOP10に入れないということなども起こっている。
共通のタイヤ、共通のコンピュータハード、ソフト、などのレギュレーションによるものもあるだろうが、非常に細かいところまで追い込んでセッティングし、走りも攻め込んで、限界近くまでキープしていく闘いになっており、勝つためのライディングも「勝てる」セオリーの円が小さくなってきている。
みな似てきているわけだ。
もちろん、中でもこの3人は同じHONDAのマシンに乗っているわけだから、さらに似て当然なのだ。
上の写真を見ると、エスパルガロと中上が肘を畳んでいるのに対して、マルケスが肘を張っているようにも見えるが、それは、マルケスがほぼフルバンクしているからだ。肘を路面とスライドさせることによって、路面の近さを感触で掴んでいる。
ちょうど同じような写真が見つからなかったので、もう少し起こしたところのマルケスの写真を載せておこう。
こちらではマルケスの肘も畳まれている。
さて、よく似た3選手のライディングだが、グリップの握り方、そしてブレーキレバーには、三者三様の違いがある。
マルケスはグリップの外側を斜めに握る。
レバーガードの基部となっているグリップエンドにかかるように握っている。
ブレーキレバーは短く、まっすぐなタイプ。
エスパルガロはマルケスに比べると少し内側を、比較的直角に握る。これからアクセルを開けているためだが、手首が起きて、肘を畳んで手指を外側に折り曲げるような形になっている。レバーは短く、マルケス車になかった空気抵抗を軽減させるための穴が空いている。
もしかしたらレバータッチの軽さ、もしくは柔らかさがこちらが好みだったのかもしれない。
中上のレバーはロングタイプでドッグレッグ形状。
そして3者の中では一番内側を握っている。バーエンドは殆ど見えている。
右ハンドル周り
セパンテストでのマルケスのスタート練習のシーンだが、異様に車高が低い。まるでGPレーサーではなく、ドラッグマシンのような姿だ。フロントだけでなく、リヤも下げている。スタート時のみならず、加速時にも、こうしたデバイスを使って加速をよくする。この仕様の可否で勝ち負けが左右されてしまうくらい、GPは僅差で正しくつばぜり合いするような闘いになっている。
ポルと同じく、グリップはあまり斜めに握らないタイプ。
ブレーキングの写真を見つけた。
見えにくいがどうやら内側3本(人差し指、中指、薬指)でレバーを引き、小指はグリップを握ったスタイルのようだ。
ポルのブレーキング写真。
あの短いレバーを4本指で引く。
たぶん、小指は殆どレバーにかかっていないのではないだろうか。
ライダーの受ける荷重は下半身で支えるのが基本とは言え、MOTOGPでの減速Gはすさまじく、腕に全く荷重をかけないことは不可能。この深く肘を曲げた状態でも、かなりの荷重が腕にもかかっているはずで、するとその荷重は、手のひらからグリップへのかかるわけだが、この小指も浮いたフォームでは、グリップを深く握る形でないと支えられないはず。
左コーナーでの握りを見ると、やはり握りが深い。親指側を基準として、深く握るタイプだ。
また、この写真からは、リヤブレーキへスイングアームから伸びる黒い管状のものは、キャリパーに風を当てて冷やすためのものだとわかる。
マルケスのレース中のブレーキングが良く見える写真が見つけられなかったので、これはプレシーズンテスト、セパンでのものだ。
人差し指1本で引いている。
マルケスはかつて、中上のように小指以外の3本で引いたり、ポルのように4本がけしていたりしていたが(また、中指と薬指の2本掛けの時もあったように記憶しているが…)、1本掛けにしたようだ。
ちょっと前に、ブレーキレバー何本掛けが正しいか…なんて論争?があったみたいだが、自分がコントロールしやすければそれでいいのだ。
まして、マシンごとに総重量、ブレーキシステム、レバーなどもすべて違うのだし、かけやすく、緩めやすく、しかもその途中の段階をコントロールしやすいやり方を、いろいろ試せばいいのだということだろう。
さて、マルケスのブレーキレバーの変化に、ほぼ2シーズンを棒に振らせた彼の右上腕骨骨折
が影響しているかどうかはわからないが、失礼にならない程度に、想像していろいろ考えてみる…くらいが、GPファンとしていいのだろう。
さて、上の写真は、プレシーズンにチームお披露目の時、発表された中上のマシンだ。
リヤカウル形状やスプーンがなく、上下に幅の広いカーボン製スイングアーム(チェーン引き、アクセルシャフト受けのみアルミ)、カウル形状など、2022年型としてほぼ同じだがウィングレットの形状はこの後のセパンテストで新型が初めて採用されていた。サイドカウルの形状やフレームも2021年型とは変わっているようだ。
GPマシンのリヤカウルは大きくなったり小さくなったりを繰り返してきたが、ここのところ10年ほど、小さくなる傾向だったのだが、ドゥカティが始めたサラダBOX(マスダンパーらしい)いらい、また大きくなる傾向に変わりつつあるのかもしれない。
市販車のデザインにも、影響を与えていくだろうか。
(私は最近の市販車の、リヤが短か「すぎる」デザインがどうも好みでないので、期待も込めて)
中上のレバーは先に述べた通り、ドッグレッグ型で長い。
レギュレーションでレバーガードがハンドルエンドから伸びている。
ブレーキレバーの下に、さらに二つレバーが見えるように思う。
見にくいが、上下に二つ、並んでいるのではないだろうか。
これは何だろう。
おそらくは、車高調整デバイスのレバーだと思われる。
車高調整デバイスは、今や勝つために必須なのだが、レギュレーションにより、サスペンションの電子制御は禁止されている。それで、各社とも機械式のものを用いる。
サスペンションを沈めた状態でフックのようなものに引っ掛け、伸びなくするという、けっこう単純なものだが、それをスタート時のウィリーを防ぐためにまずフロントに使ったのが最初で、これは数年前から。昨年からは加速時にリヤが伸びないようにする装置も使いだした。
レプソルホンダチームのお披露目の時の写真から、マルケスが跨っているシーンを選び、左手許をトリミングしてみた。
クラッチレバーの上に小さなレバーがあり、その上にワイヤを回すダイヤルがある。
クラッチレバーの上にあるのは、リヤブレーキ作動レバーだろう。右足にもペダルはあるが、右コーナーに向けてのブレーキングで足を外す時があったり、そもそも右コーナーで深くバンクしている時には、足が路面との間に挟まってしまい、ブレーキングがうまくできない。
そのため、これも全メーカー、全車でリヤブレーキの作動レバーをもう一つつけている。
親指で押して使うタイプと、引いて使うタイプがあるが、マルケスは引くタイプを使うようだ。
上のダイヤルは、超酷使されるフロントブレーキのレバーの「遊び」がレース中に変わってきた時に調整するため。
グランプリライダーは、レース中、ものすごく忙しくいろんなことを操作しながら走っているということだ。
さて、次回はヤマハを見てみよう。
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