2022年3月16日

MOTOGP 2022マシン DUCATI

最近のモトGPの面白さは、ホンダ、ヤマハ、スズキ、ドゥカティに加え、KTM、アプリリアも実力をつけてきて、メーカー毎の違いがありつつも、激戦と言う構図、誰が勝つか、やってみなければ全く分からないという混戦、そんなところにもあると思います。

さて、今回はドカティのマシンを見ていきましょう。カラーリングから構成を見やすいので、第1戦で優勝した、グレニシーニ・レーシングのエニア・バスティニアーニ選手のマシンを見ていきます。出典はすべてMOTOGPオフィシャルサイトのインサイド、フォトギャラリーの頁からです。
おっと、いつのまにか丁寧口調に。本文は常体で行きます。


ホームストレートを加速していく、チームグレシーニのバスティニアーニ選手。
24歳、イタリア人。MOTOGP2年目。
マシンの姿勢が低い!フルボトムしていませんが、やはり車高調整デバイスを使用していると思われる。どういう仕組みになっているかは、各チームの秘密事項。

上下に付いたウィングレット。最も空力研究が進んでいると目されているドゥカティ。
今年もいろいろ変えてきたようだ。


上のウィングレットは、コの字型をしているが、その上辺が小さく、下辺が大きい形状。
サイドカウルのウィングレットのコの字型はやはり下辺が広そうだが上下幅の差は少し小ささいようだ。フロントフォーク上部にカバーがつけられフロントフェンダーも大きい。
逆にこの位置から見ると、リヤカウルは幅が狭くなり、小さくなったかのようにも見える。


ドゥカティはホンダと同じV4エンジン。いや、同じと言っても、V4という形式だけがとなるかもしれないが。
この角度から見ると、ドゥカティが始めて、2021年度はほぼ全車が採用していたスイングアームのスプーンがなくなっている。
スイングアームで得るダウンフォースは、ないよりはより速くなるが、同様の結果を別の方法でとれるなら、スイングアームからでない方がいいということだろう。
フロントホイールの下部だけを覆うカバーも特徴的で、これは昨年以前からだが、なぜここだけにするのかわからない。ここは見てきたとおり、メーカーごとにカバーする範囲が違っている。

もうひとつ、このマシンは藤色のボディカラーにウィングレットは赤に塗り分けられているが、前輪後ろから空気を取り入れて、下方に導くダクト?が今シーズンから採用されている。
この狙いがわからない。

さらに空力的には、前方シリンダーの排気管の出る右下の部分がフラッシュサーフェス化されているようにも見える。


コーナーの立ち上がり加速。
上から3番目のウィングの狙いが分からない。上二本でダウンフォースを得ているのは分かるが、この下の役割りは?
一つ考えられるのは、フロントタイヤの陰になっている車体下部に風を導き、アンダーカウル側面を使って速い空気の流れを作ることだが…、はたして。
リヤカウルの左右幅はかなり詰められているが上下幅はかなりあるようだ。
後方シリンダーからの排気管が集合した部分の上に黒い長方形の箱。おそらく、中にあるバタフライバルブを作動させる廃棄デバイスのコントローラーだろう。排気管はシート下あたりでかつての2ストのチャンバーのように膨らんでいるようだ。遮熱のためにシートカウルが下に伸ばされ、排熱スリットが開いている。

全体的なフォルムから受ける印象が、戦闘機のイメージに一番近いのがドゥカティだと思う。空力研究のリーダーは、今でも先頭を走っているようだ。



左側。流している時の映像。
ウィングレットの下面がかなり後ろあがりでダウンフォースを強く生む形状になっていることがわかる。そして、やはり一番下のウィングレットの下向きが謎だ。
カウル側面にもうひとつエアインテークのスリットがあり、ラジエターを通った風を抜くダクトは、縦に二つスリットとして開いている。

スイングアームはカーボン製、リアアクセル受けのみアルミなのはホンダ、ヤマハと同じ。

リアカウルはやはり質量感がある。
その中におそらくマスダンパーが入っているのだろう。


かなり深くバンクしているが、上体が起きていることなどから見ても、攻めていない状態だと思われる。
ウィングレットの形状がよくわかる。
フロントフォークのカバーもかなり大きい。よく断面のようになっていると思われる。
また、スイングアームはかなり薄くて広い、そういう形状で、空力も相当に意識した形状だろう。
リアカウルのBOX形状と結構な容積があるらしいことも得わかるショットだ。


ドゥカティはステップまわりのアップ写真があった。
まず、フレームが薄肉でBOX形状であることが分かる。
チェンジペダルのピボットはステップと同軸。ペダルの先端は可倒式。
チェーンはやはり華奢。カーボン製のスイングアームの上面には樹脂製のチェーンスライダーが備わる。
写真中央上のアルミ溶接痕のある大き目のパーツは燃料タンクの底のほうだろうか。
カーボン製ヒールガードの向こう、スイングアームの上面を見ると、見えにくいがカーボンパーツの上から折り曲げた薄いカーボンパーツが接着されているようだ。
ステップ後方下のカーボンパーツ、チェーンが通っているあたりもとても薄いカーボンの板だ。
剛性を出す支持体としてのスイングアームの両側から、空力を受け持つカーボンの薄板を貼り付けた構造になっているのかもしれない。



フロントカウルのスクリーン越しに見た左ハンドルの基部のあたり。
DUCATIのリストバンドのようなものは、フルードのリザーブタンクだから、ドゥカティは油圧クラッチなのだろう。
その後ろ、カーボンの編目のある黒い部分がトップブリッジで、その下、二つのボルトが縦に並んでいる部分はハンドルクランプである。
GPマシンのトップブリッジがとても薄いことに驚く。
これは全メーカーそうで、フロントフォークの主な支持はアンダーブラケットで行い、トップは弱めにして、「しなり」をコントロールしている。
いろんなダイヤルやワイヤーが来ているが、それぞれ何だろうか。


この写真だけ、チームメイトのファビオ・ジ・ジャナントニオのものだ。
右側グリップ。
グリップ基部にある小さなレバーは親指で押すタイプ。これが車高調整用か。
スタートの時のフロントフォークのロックは、ハンドルクランプと真ん中のステアリングヘッドとの間にある黒い超ネジで行うらしい。
赤い小型ボルトのものは、スイッチなのか、インジケーターなのか、さっぱりわからない。


左の青いキャップがバスティニアーニ、右がジャナントニオ。
フロントウィングレット形状がよくわかる。上辺と下辺でこんなに違う形をしているのだ。

バスティニアーニのグリップは黒い。
彼の右手の小指の部分、タンクに四角いくぼみがあり、中にはネジか端子のようなものがのぞいている。


しかし、この写真では、黒い縦長のBOXが接続されている。これも「何か」なんだろうが、さっぱりわからない。
この写真からは下側の排気管形状もフラッシュサーフェス化のためにかなり考えられていることがうかがわれる。だったら上側排気管のデバイスもカウルの中に入れるとかした方がよさそうに思うのだが、何か理由があるのだろう。

なかなか謎多き、ドゥカティマシン。
とても興味深かった。

かつて(大昔というべきか)ホンダがやった数々の常識壊しの技術チャレンジ。いまやそれはドカティから来る。
かつ、勝っている。
さて、今シーズンの行方やいかに、だ。

次回、KTMをちょっと覗こう。独自なところがある。

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