2022年3月14日

MOTOGP 2022マシン YAMAHA


つづいて、ヤマハの2022年マシンを見て行こう。
ヤマハのエースは昨年度チャンピオン、ファビオ・クワルタラロ選手。
ヤマハワークス、モンスターエナジー、ヤマハMOTOGPチームには、クワルタラロ選手と、フランコ・モルビデリ選手が所属。ゼッケン20がクワルタラロ選手、ゼッケン40がモルビデリ選手だ。



コーナリング中のクワルタラロ選手。
既にブレーキングは終わり、深いバンク角から開けて行こうとしているところ。
クワルタラロ選手はグリップを外側から斜めに握るタイプ。人差し指が浮いているのは、たぶん、加速時に使う車高調整デバイスのレバー作動に備えるためか。ちょっとわからない。
反対側、左手の前には、レバーが2本見えている。
たぶん、前の大きい方がクラッチレバー、後ろはリヤブレーキレバーだろう。

ヤマハのウィングレットは、カウル先端で左右がつながり、吸気口へのスカートのようになっている。
全体としての形状は、昨年までの形と大きくイメージは変えていないようす。
ホンダががらっと変えてきたのとは好対照をなしている。
ゼッケンの真ん中の灰色の四角は、前方を映すTV放送用の小型カメラか。


ヤマハとホンダの最大の違いはエンジン形式と言っていいだろう。
ホンダのV4に対して、ヤマハは直4。前輪の後ろにシリンダーが進行方向に直角に一列で並ぶ。
排気管も4ー2ー1とまとめられ、右足の下後方から排気口が顔をのぞかせる。
フラッシュサーフェスになるように、斜めにカットされていて、排気管を出していたホンダとは考え方が違う。共通なのは、排気管の出口に、金網が張られていることだ。
これは、転倒時などにグラベルの小石や砂などが排気管の中に入らないようにするためで、網状に見えるが、チタンの板を「型抜き」して成形したものである。

スイングアームからやはりスプーンが消え、その代わりスイングアーム自体がバイクの底面の空気を整流するような形状となっている。
カーボンブレーキディスクのカバーも、ホンダよりも覆う角度が広い。

また、テールカウルは以前より大きくなったものの、あからさまなランチBOXを搭載したような形状にはなっていない。


左横から見たショット。
フロントブレーキカバーは外されている。
ドライブスプロケット上にセンサーが仕込まれてワイヤーがカウルの中へ。
そのドライブスプロケットの左(前)斜め上にあけられた穴は、エンジンスターターのギアを差し込む口だ。
スイングアームの長さと、リヤフェンダーの肉抜きが目立つ。


クワルタラロのブレーキング、写真が小さいが、彼も人差し指1本タイプ。



セパンテストでのスタート練習。
ゼッケン12はドゥカティ、マルコベゼッチ、20はヤマハ、クワルタラロ、44はホンダ、ポル。みんな車高調整デバイスを作動中。もう一人は、ホンダの中上選手だ。

ゼッケン12,マルコのフロントが宙に浮いているのにサスペンションが縮んだままであることからも、機械的にサスを縮めたままロックしている機構を使っていることがわかる。



こちらはストレートを加速していくクワルタラロ。
やはりフロントが伸び切っていないし、リヤも沈み気味に見える。
スタート時だけでなく、加速時にも車高調整デバイスをライダーが手動で作動させるのは全車共通らしいが、そのメカニズムの細かいところはまだ秘密になっている。
操作のタイミングも、プレシーズンのインタビューでは明かされなかった。
つまり、まだ定着していない、開発途中の技術だというわけだ。
フロントホイール前半に、フェンダーから伸びたカバーがついているが、たぶん導風板で、その効果をテストしているのだろう。



こちらはベテラン、アンドレア・ドヴィチオーゾ。
今年からヤマハでフル出場。WithU Yamaha RNF MotoGP™ Teamから参戦。

フロントのウィングの下に、もうひとつ、角張った小さなウィングレットが左右についている。
これはクワルタラロのマシンにも、試されたことがあり、上のスタート練習のシーンでは、クワルタラロのマシンでもこの小さな角ばったウィングレットが確認できる。
各チームとも、空力に関してはシーズン中の変更がレギュレーションで禁止されているので、開幕までにさまざまな試行を行っている。


ドヴィチオーゾが流して走っているシーン。
フロントのウィングレットの張り出し具合、リヤフェンダーの肉抜き。ホンダとは違うシートカウルの形状などが確認できる。


ほぼ真横からの写真。
フロントフェンダーはまた違う形のものを試している。
真ん中の角ばったウィングレットは消えている。
見えにくいが、フレームのスイングアームピボット、ステップ回り、排気管出口あたりが滑らかな曲面で構成されており、これはフレームの上からドライカーボンの薄いカバーをかけているのではないかと思う。そこまで空気の流れを意識している(しないと勝てない)ということか。
また、シートストッパーが肉盛りされていることも興味深い。
ドヴィチオーゾの体格であれば、もう少し尻を引くのものかと思ったが、そうではないようだ。それだけ、加速Gが大きく取れるようになっていて、相対的にライダーを前に位置させたということなのだろう。


左コーナーを立ち上がろうとしているドヴィ。
まるでカウリングを付けたかのような形状のスイングアーム側面。空力の追求はどんどん進んでいる。
右手の人差し指は、ブレーキレバーの内側で何かを引いているようにも見える。
これから立ち上がって加速していくことをめがけ、車高調整デバイスを操作しようとしているのかもしれない。



最後に、チームお披露目の時のマシンの写真だが、フロントカウルの形状もスイングアーム、フロント、リアフェンダー、など、いろいろ違っていて、チーム発表後も、セパンテストまで、またカタール第1戦まで、必死の改良が続けられたのだろ思われる。

第1戦で昨年チャンピオンのファビオ・クワルタラロは、予選はQ1経由でQ2へ進出、グリッドは11番手。決勝レースでは9位だった。

次回はスズキのマシンを見て行こう。

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