2019年8月23日

夏空の日(4) 道道85号 幌鹿峠―然別湖

今回の十勝地方への日帰りツーリングで、行きたいところは2つあった。
一つは「ナイタイ高原」。それは果たした。
もう一つは、「場所」ではなく、「道」そのもの。
道道85号線、幌鹿峠(ほろかとうげ)だ。
糠平の温泉郷から、然別湖へ抜けていくこの道は、僕の好きな道。
でも近年、ずっと通行止めになっていた。それが、開通していると聞いては、行かずにいられない。

ナイタイ高原を下って、上士幌の街へ。
そこから国道273号線を北上していく。
上士幌の街で、ガソリンを注ごうかとちょっと考えた。
もうすぐ今日の走行距離が300kmになる。給油の警告灯は点いていないが、
そろそろ給油した方がいいかもしれない。

でも、糠平の温泉郷は大きなホテルもあり、観光バスも多く来る。
以前、ここでガソリンを注いだこともある。
今日は8月13日、お盆だが、きっと開いているだろう…。
と高を括って、まずは北上することにした。

走っているうちに、喉が渇き、トイレに行きたく、おなかも空いてきていることに気がついた。

ああ、ナイタイ高原ではそれを全く忘れていた…。
まずはトイレに寄って、そこでガソリン情報も聞こう。

2019/8/13 9:15
着いたのは、『糠平温泉郷』にある、『ひがし大雪自然館』。
以前はこんな立派なものはなかった。2013年にオープンしたらしい。
とりあえず、トイレを。

奥に公衆トイレの看板。最近のトイレはどこもとてもきれいなのだが、大きな建物の方がさらにきれいじゃないか…なんて、ビンボー心を丸出しにして、ひがし大雪自然館の中へ……と、

ん?駐めてあるバイクは?

2019/8/13 9:15
GPZ? 一瞬、元の愛車、GPZ1100かと思った。(僕のGPZは青だから、色は違うが)しかし、いや、これ、本家Ninjaだ。クラウザーのパニア、大型シートバッグ、銀マット、ポール類、大型タンクバッグ。キャンプツーリングだ。いいねえ!!

この日、たくさんのバイクとすれ違った。
思ったのは、BMWが多いなあということ、そして、アドベンチャータイプが多いということ。アフリカツインも、テレネも走っていた。関連して、高価なバイクも多くなったということ。もう一つは、一方で、若い人がカワサキの400とか、ホンダとか、スズキとかのロードバイクで旅している姿も多く見た。

バイクツーリングは、また増えてきている感じがする。
数年前よりも、本州からのツーリングの人によく合う気がするのだ。

その中でも、オリジナル(フロントは16インチだ。)のNinjaは、印象に残る一台となった。

さて、トイレトイレ。
すっごくきれいなトイレをお借りし、その後、缶コーヒーを飲み、ひがし大雪自然館の中のインフォーメーションの方にガソリンスタンドを聞いてみた。
すると、

「上士幌まで戻るか、三国峠を越えて、旭川、東川方面か、あるいは、幌鹿峠を越えて、屈足(くったり)まで行かないと、ないんですよ。」
とのお返事。
屈足?
「屈足で、今日はお盆ですが、開いていますか?」
「ああ、それは大丈夫、開いています。」

なら、話は決まった。
このまま幌鹿峠を越え、然別湖から屈足まで走ろう。
それくらいは、十分走れる。

「ありがとうございました。」

お礼を言って、外へ。

2019/8/13 9:21
駐車場の端っこにゆきかぜが待っている。
雲が切れて、陽が射し始めている。
今日の予報は昼までは十勝は晴れ、午後から徐々に崩れる…なのだ。
然別湖や幌鹿峠の方向は、ナイタイ高原に行く前ははるか遠くに厚い雲の中のように見えたが、このぶんなら峠も、湖も降っていないだろう。

さて、走ろう。
久しぶり、85号。幌鹿峠。

路面が荒れていることを心配、予想していたが、思ったよりも荒れていなかった。
ただ、濡れていて、ところどころ光っているところがある。
数年間通行止めだったから、路面に苔が生え、それが通行で完全に削り取られていないと、猛烈に滑ってあぶない。(じっさいには苔はなかったようだったが)
慎重に木蔭のヘヤピンが続くワインディングを駆け上っていく。
ここは、大きなスキー場があることでも有名だ。(ぬかびら源泉郷スキー場

峠道を駆け上っていくと、数か所、コース管理用の道の口に当たる。
厳密には私道であるし、奥まで入ってはいけないのだが、コースが見える口のところまでは、別に柵もなく、行くことはできる。

2019/8/13 9:29
数十メートルだけ、おじゃまする。
すると、コースと、眼下に糠平湖(ダム湖)が見える。

2019/8/13 9:34
こんな場所だ。
深入りはいけない。ゴミなど、決して残してはいけない。
なんというか、「山」なのだ。
ナイタイで吹いていた風は、ここでも吹いている。
雲が動く。
空の色が、刻々と変わり、それにつれて、眼下の山の色、湖の色が変わる。

少しの間だけ、ここで風に吹かれていたい。


2019/8/13 9:49
さて、道道85号に戻り、峠を越え、南下してどんどん下っていく。
やがて、然別湖(こちらは自然湖)の北の端に到達し、さらに南下していくと、湖は大きくなり、やがて道は急に1車線の狭い道になる。
国立公園の中なので、道路の拡幅工事は難しいらしい。僕としては、交通量にふさわしい道幅はあるのだし、細い道は好きだから、歓迎だ。

しばらく、細い水海沿いの道をゆっくり流して、ゆきかぜの軽い走りを楽しみ、
少し道幅が広くなっているところで、道の端にゆきかぜを停め、休憩した。
今日は本当に休憩ばかりしているなあ…。

2019/8/13 9:50
足元のササ。
白樺の若樹の向こうは、然別湖だ。
ここは静かだが、上空ではさっきの風が、ずっと吹いているようだ。
雲が来たり、行ったりして、明るさや色が、くるくる変わる。

それが面白くて、またちょっとの間だけど、ぼんやりしていた。

2019/8/13 9:51
さて、そろそろ走行再開といこうか。
然別湖の温泉街まではもうすぐだ。

2019/8/13 9:58

然別湖の温泉街は重い雲に覆われていた。
10時に、遊覧船が出る。というアナウンス。
ぱっと見たところ、遊覧船の中のお客さんは、二人くらい。

貸し切りだなあ…、と見ていた。
桟橋から沖を見て、声を掛け、手を振る婦人。

2019/8/13 9:58
手漕ぎのボートが湖の上を、ゆっくり進んでいた。

賑やかで、静かだ。
華やかで、厳かだ。

然別湖はいつきても、この二面性を感じさせる。

2019/8/13 10:00
10時。
遊覧船は出向していった。
さあ、僕等もまた、行こうか。
僕より先に来ていたライダーさんも、出発するところだ。

然別湖の南の端のあたりで、沿道の樹が開けて、湖が見えるところがあった。
じゃあ、ここで、記念写真を。

2019/8/13 10:05
ぱちり。
霧の然別湖をバックにゆきかぜを。

さあ、目的は果たした。
朝10時。今から帰り道。
無事に帰ることが、本当の目標だ。
まずは屈足で給油だ。
自宅までたぶんあと300km。
走っていこう。ゆきかぜ。
(つづく)

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