2019年8月15日

支笏湖と、緑と、ゆきかぜと。(2)


2019/8/12 午前11時過ぎ。南区常盤の山の中で。

国道453号線を支笏湖から札幌方面へ向かい、常盤6条で真駒内川を渡る直前に、左手にUターンするかのように坂を上っていく道がある。石山3条方面へ抜ける道なのだが、その途中、小さな峠の尾根を越える時に、尾根沿いに北へ伸びていく細い道がある。石山緑地方面へ抜けていくその細い道が、僕は好きで、時々、走りにいく。


走りに行くと言っても、飛ばすのではない。
むしろ逆だ。
森の中、樹々の中を細い道が行き、その道をゆっくり走ると、緑のトンネルを抜けて、
ゆったりとした気持ちになれる。

舗装された1車線ですれ違いも難しい程だが、5分に1台くらいのペースで車は通る。
それでも、車の来る間は、森の静けさと、樹々の葉擦れの音や、鳥の鳴き声が聞こえる。

同刻・同所

尾根筋の道なので、森の中とは言っても明るい。
光が入りやすいのだ。

一年に何回かは、この道へ来て、適当なところで停まり、しばらく佇んで帰るのだ。

今日も少しゆっくりした。

この5年ほど、いやもっと、12年ほどだが、特にこの5年は、忙しすぎた。
そこへ実家の父の死や母の独居生活のフォローが始まり、元々休みが貴重なのに、その休みが休みでなくなってしまい、さらに去年は仕事も忙しく、以前から悪かった体調をさらに悪化させてしまった。

殆ど無理やりに近い形で忙しいポジションから下ろしてもらい、病院通いと、実家の母のことを優先的にする生活にして、4か月が過ぎた。

やっと最近、考える意欲が少しずつ回復してきたように感じる。
人生の季節として、こういう時期はあるものだが、
それにしても、呼吸を楽にして、ゆったりとする時間を持つことの大切さを
改めて感じることになった。

不思議だ。

それでもバイクは手放さない。

むしろ、バイクに乗れるようになって初めて、自分らしさを少しずつ回復していけるような気がする。

同刻・同所
一瞬、振り返って見たゆきかぜのミラーにひびが入っているのかと思った。
慌てて一歩踏み出すと、ひびが動く。
ああ、白樺の白い幹がミラーのボディに映り込んでいたのだ。

ゆきかぜは、MOTOGUZZIのV7Specialというモデル。
2013年度型だ。
メッキパーツが所々に使われている。

同刻・同所
ズームさんによると、クロームメッキはやはり日本の物が断然「いい」らしい。
残念ながら、イタリアンバイクのそれは、メッキ皮膜が薄かったり、メッキ層の階層自体が日本のものよりも少なかったり(つまり、行程の中で重ね塗りのようにメッキがけする回数が日本のものよりも少し少なかったり)することもあるらしい。
もちろん、車種にもよる。一概にすべてとはいえないのだが、どうやら、V7の場合、ヘッドライトケースのメッキは、結構いいものっぽい。
逆にウィンカーボディのそれは、素材がプラスチックでその上に掛けていることもあるのだが、非常に薄い感じがする。(素材の硬さ等に応じ、割れが起こらないようにいろいろ工夫するので一概に厚ければいいというものでもない)

僕はバイク磨きは趣味の中に入っていないけれど、
そして、今までもバイクは使い倒す付き合い方をずっとしてきたけれど、
ライトケース青空が映っていたりすると、ちょっとうれしかったりする。

それで、時折ではあるが、メッキ部分はマザーズのプロ―ムポリッシュを使って拭くことをしている。

同刻・同所
純正のハンドルバーは幅が広く、絞りが浅くて、175㎝で人よりちょっと腕が短い僕には合わない感じがした。
今ついているハンドルバーはカワサキ、ゼファー750の純正バー。
ハンドルのメッキにも、森が映り込んでいた。

こういうのが好きで、メッキパーツをどんどん増やして鏡面のように磨く人もいる。

反対に、メッキは目がうるさいという人もいる。
鏡のように物を写し込むと、自身の色が確定しないので、落ち着かないというのだ。
また、メッキパーツの面積が大きくて、それが全面ひどく汚れていたら、普通の塗装面が汚れているよりも汚れ感や、メンテしてない感が強めに出てしまう。
そんな時には人目もうるさいというわけだ。
メッキは少なくして、艶消しや半艶の塗装でシンプルにする人も、一方では多い。
まあ、トレンドと言うわけだ。

同刻・同所
テールライトのケースもクロームメッキだ。
目が行くところでもあるので、綺麗だと気持ちいい。
でも、このプラスチックのライトケースの上のメッキは、7年の間に、表層のごく浅く、薄いところでひび割れのようなものが出始めている。
まあ、皺のようなものだ。
同刻・同所
燃料タンクの給油口もこれはクロームでなく、亜鉛ではないかと思うのだが(外れてたらごめんなさい!)、ここもメッキだ。
白い塗装面にも、森の木の影が映り込んでいる。

「RIDERS CLUB」のステッカーは、1980年代~90年代の前半に、雑誌ライダースクラブへの投稿でいただいたもの。
この時代のライダースクラブが好きで、歴代の自分のバイクには、必ずどこかにこのステッカーが貼ってある。
次のバイクくらいまでのストックはあるはずだ。
同刻・同所

キーホルダーは「ペアスロープ」のもの。
印伝という手法で革に漆で赤くトンボの絵が描いていある。
イタリア生まれのゆきかぜだが、日本の伝統工芸の印伝が、よく似合っていると思う。
まあ、オーナーバカなんですけど。

同刻・同所
森の樹々。


同刻・同所

森の道。

お昼前の明るい時間。
支笏湖では今にも降りそうだったが、南区では空は明るさを保っていた。

家を出てから家に着くまで3時間弱の散策。
支笏湖から、森の緑へ。
気持ちがだいぶ、落ち着いてきた。
今日の午後は仕事もない。

さて、お昼には家に着くように。
腰を上げ、
ゆきかぜと一緒に、
札幌の街中へ
帰っていこう。

「支笏湖と、緑と、ゆきかぜと。」完

3 件のコメント:

  1. ゆきかぜがどうしてスポークホイールでチューブレス化したのか?
    以前、質問させていただいたような気がしたのですが(違っていたらすいません)
    長年の謎が一つ解けました。


    石山3条に抜ける方はよく通りますが、石山緑地に抜ける方は知りませんでした
    素敵な道の紹介、ありがとうございます。

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    1. 緒崎さん、こんにちは。
      あら!
      いただいた質問にお答えせずに何年もほっぽりだしでしたか!?
      それは、大変に失礼いたしました。
      ごめんさない。

      そう、私、特に積極的にチューブレス化をしなくては…と、
      思っていたわけではなかったのです。
      しかし、ズームさんの話を聞いて、なるほどと腑に落ちました。

      石山3条に抜ける道もいいですよね。
      ああいう雰囲気、少しのどかで、少しごちゃっとしていて、
      なんだか、とても好きです。
      秋田生まれの私には、少し懐かしい感じのする道です。

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  2. いえいえ、質問していたかどうかもあやふやで
    答えてもらっていたのに自分が忘れてしまっていたかもしれません
    こちらこそ失礼しました。

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