2019年8月25日

夏空の日(6)金山湖ー占冠


2019/8/13 11:50
狩勝峠を降りて来た。
南富良野町を経由して金山湖方面へ向かおう。


国道38号を流していると、携帯電話がブルブルしている。
脇道に入って、確認。
仕事のメールだった。
処理に30分ほどかかった。
ああ、ツーリングでもOFFにできない事案があり、
事案があるときは、連絡はあるもので、そうすると、処理が必要になる。
そうやって、生きているのだから、しょうがない。

2019/8/13 11:51
畑には入られないように電気柵(だと思うが、”風”かもしれない)。
動物が主たる相手だろうか。人間だろうか。
畑の中を気持ちのいい風が吹きすぎていった。
でも気温は30℃近い。
電話案件の処理をしているうちに12時を回っている。
道の駅は混み合っていることだろう。
やっぱりコンビニにしよう。
2019/8/13 12:29
道の駅「南ふらの」の直前にあるセイコーマートへ入って、
サンドイッチとコーヒー牛乳を買った。
部活帰りの中学生みたいだ。

ツーリングの上質な楽しみの一つに、訪れた先で、その土地ならではの食事を楽しむというものがある。
「グルメツーリング」とか、「うまいもんツーリング」(by根本健多門恵美注このリンクは書籍の通販サイトへ飛びます))というものだ。

大人のツーリングのあり方として、とてもいいと思う。
そういいつつ、僕ももう50代も後半、「アラカン」というヤツだから、そろそろ大人になってもいいものだが、なんでかな、食事は無事に走り続けるための休憩と栄養補給という位置づけ以上に上がってこない。

もうちょっと余裕ができたら、食を楽しむツーリングにもトライしてみるのもいいかもしれない。でも、味なんてわからないかも。

さて、南富良野から道道465へスイッチすると、金山湖の北岸を行く道になる。

金山湖は、最近観光に力を入れていて、北海道の観光案内サイト、『北海道ラボ』の中でも「絶景+静けさ+充実のアクティビティ!かなやま湖の四季の魅力」なんて紹介されたりしている。

金山湖もダムによってできた人造湖だ。
「金山ダム」。このダムとダム湖の誕生にも、たくさんの物語がある。
今は触れるのはやめよう。
Wikipediaに、概略があるが、Wikipediaであるから、信頼度の保証はできない。

僕にとっては、やはり30年以上前、昭和62年、63年の頃に何回か訪れた、少し悲しい表情の湖という印象が今も残っている。

2019/8/13 12:50
今日は夏空の元、美しい風景が広がっていた。
ここはラベンダー園。花の盛りはもう過ぎて、静かさを取り戻してる。


2019/8/13 12:50
湖畔に人々が出ていた。ここまで楽しそうな声が響いてくる。

子どもの声、大人の声。

夏休み。
本州から帰省してきた人たちも多いだろうか。

でも、僕が今日訪れたのは、ひとつのベンチを訪ねるためだ。

2019/8/13 12:50
あった。
selenさんのベンチ」。
勝手に名付けている、金山湖畔のベンチ。

それは、MOTOGUZZI 1100SPORT に乗る、selenさんが、ご自身のブログの中の
走ることと…穏やかなひととき…」(2018年6月18日)の記事の中に出てくる、ベンチ。

3つあるんだけど、ひとつひとつの間が広くて、ひとつずつが、3つあるようにみえる。

100人ライダーがいれば、100通りの、
1,000人ライダーがいれば、1,000通りの、
ツーリングがあり、風景の感じ方があり、空間の味わい方がある。

同じ景色に身を置いても、時も違えば、風も違い、そこまで走ってきた道も違うなら、
違う風景になる。

でも、僕等は、誰かが愛した風景を訪ねることで、そのほんの一部を、ひとかけらを共有する。

自分にないもの。
自分と似ているもの。
さまざまなものを、その風景から、身体に沁み込ませて、
僕等はバイク旅をするのだ。

selenさんの走りに思いを馳せて。
また、自分自身の来し方、行く末に。
そして、今、この瞬間、バイク旅の途上にあることのしあわせを。

ブログなどのインターネット、コミュニケーションを介して、
会ったことのない人と、コメントをやり取りしたり、
走りを重ねたり、参考にしたり。

バイクライフも35年以上になったが、この10年でも、僕のバイクライフは変わった。

こういうコミュニケーションが生じるとは、若い頃は思いもしなかった。


selenさんのベンチで休憩していると、
さすがに朝3時から走ってきたことの疲労が感じられた。
まあ、そうだよな。10時間経ったのか。
それでも、ホントに昔は、徹夜で走って走りながら居眠りしたりしたこともあった。
あれはホントに危なかった。
そういう危なさは、年とともに少しずつ減ってきている。
ゆきかぜは、買った年に恥ずかしながら立ちごけが2回。
それ以来、一度も転倒していない。
これは、僕の最長不倒記録を更新している。

体力の衰えを自覚して、用心して。
それでも事故は起こる。
最後は運を味方にしなければ、無事故では過ごせない。

僕は祈る神を持たないが、
安全を何かに祈りたくなる気持ちは、いつもある。

さあ、気をつけて帰ろう。

2019/8/13 13:26
金山から占冠へ向かう道。国道237号線。
空がきれいだった。
大きな鉄塔。
送電線が山を越え、谷を跨ぎ、電気を運んでいる。
巨大な鉄塔。

若い頃は景色の邪魔としか見えなかった鉄塔。

ちょっと停まって一枚。

2019/8/13 13:27
そしたら足元に野の花が。
白い方を撮ろうと思ったら、奥の紫にピントがいっちゃった。
カメラは相変わらず、構えて、シャッターボタンを押すだけ。


2019/8/13 13:27
空と鉄塔をもう一枚。
骨だけの、透け透けの巨人に見えた。


2019/8/13 13:50
道の駅『自然体感しむかっぷ』に到着。
大きな気温計の柱は33℃を示し。
木蔭は先着のバイクにすっかり占領され(僕でもそうする)、空いている奥の方へ。
日向でめちゃくちゃ暑い。
トイレを借りて、水分を取り、チョコも食べた。

札幌まで、安全に、帰ろう。
(つづく)

Thanks to "selen"さん。『モトグッチと銀塩カメラと』。

2 件のコメント:

  1. 樹生さんありがとうございます。
    一度もお会いしたことはないのに、同じ時代を走っている同じ仲間のような気がしてます。
    樹生さんと同じように、走り続けていつの間にかこの年齢になりました。
    自分の為だけにずっと走ってきたから、僕のMCライフはいつもひとりでしたが、
    こうしてblogを通してひととしての親近感を感じ、なんだか不思議な感じがします。
    走る中での自由さ、深呼吸する気持ち良さ、思いっきり走ったり、時には立ち止まったり。
    道の上では僕たちは、いつも自由ですね。

    かなやま湖の何気ないこの空間にひとり座っていると、
    山肌を流れる雲の影の様子や、
    遠くから吹いてくる風が肌に届いて感じる心地よさ、
    耳を澄ませて感じる自然の様子、
    離れたキャンプ場から感じる人のやさしさ、家族が一緒に居るときのやさしい時間。
    空には陽と雲が、ときが止まったようにゆっくり流れ。
    胸の中のちっぽけなものなんて、どうでも良くなるような、すっと消えてなくなるような、そんな大きさ、おおらかさを感じます。

    そして「安全に、帰ろう」それこそが何より大切なことだと同じ気持ちです。

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    1. selenさん、こんにちは。
      勝手に記事にして、すみません。

      selenさんの写真には、なんというか、僕等が若い頃から、現在までの30年以上の時間が
      一緒に入っているというか、そんな感じがいつもします。

      昔のKATANAの、きらびやかでおごそかで、高貴で獰猛な、そんな姿。
      今のSPORTは、もっと自然に佇んている感じがします。
      でも存在感はある。存在感はあるが、周囲を威圧はしない。
      オートバイの写真にも、一つ一つ、生命が。

      そして風景の写真にも、時間の今と過去の時間とが、同時に入っている感じがするのです。
      それは、むしろ、見る側、僕の問題なのかもしれません。

      でも、後ろ向きではない。
      過去から現在の時間が凝縮したこの今は、いつも未来に向かって開かれています。

      見ていた風景、知っていた風景も、
      selenさんの記事、selenさんの写真を通して見、そしてまた訪れて自分の目で見、
      自分の身体を風景の中に置くと、今までとは少し違ったものを、
      自分の中に感じたりもします。

      なんだか、うまく言えません。

      でも、道の上でかけがえのない自由を感じているのは、
      やはり同じなんだと、思います。
      命を乗せて、安全に走ろう、そして帰ろうと思っているところも。

      『RIDER』のスピリッツ。

      大事にしていきたいと、思います。

      selenさん、ありがとうございます。

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