2015年5月1日

春の羊蹄山を見に行こう。(5)

羊蹄カントリークラブが閉鎖されて数年経った。
羊蹄カントリークラブには、畑の中を行く農道か、国道から上る狭い道でしか行くことはできない。
今朝、上ったのは国道からの道。
今度は農道から丘に登る。
その畑の中の農道からの眺めが、僕のお気に入りのもう一つのスポットだ。


13:53 京極町 農道から。

尻別岳にご挨拶。正面に見ると、大きくて立派だ。
個々から見ると、『星の王子様』の「ね、この絵、こわくない?」の絵にどこか似ている。

14:09 京極町、農道から

この写真は、予告の記事でも登場したもの。
田舎の砂利道は、土の匂いがして気持ちいい。
ゆきかぜ、マチネシリに負けてないね。


同刻 同所
地面に這いつくばって撮ったのが上の写真。
腰かけて撮ったのが、この写真。
ゆきかぜは、羊蹄山にご挨拶。
空は晴れていい気持ち。

14:14 同所 (腕時計は大幅に遅れている。安物ゼンマイ手巻をよく巻かなかったせいだ。)
 上の写真の道を行き止まりまで行って、引き返そうと、少し返って来たところ。
一面の畑。
もうすぐ植え付け。
今年は少し早くなりそうだ。
とても風の抜けがいい場所なのだが、この場所で強風に襲われたことはない。
不思議と気持ちのいい場所だ。
道とはいえ、農道はやはりお邪魔してる感が強い。
あまり長居せずに、おいとましよう。

14:24 京極町 国道276 羊蹄山ビュースポットより。
再び国道276号へ。北上して赤井川へ抜けて帰ることにする。
国道沿いに「羊蹄山ビュースポット」として、駐車場が設けられ、安心して車を止めて写真が撮れるようになっている場所がある。
いつもはそこへは寄らないのだが、この位置からだと、尻別川越しの羊蹄山が美しい。
午後の陽を浴びて、川面がきらきら光っていた。


同刻 同所
 ズームを効かせて、羊蹄山をアップで。予告にも載せた写真だ。
荘厳な感じがする。そして、美しい。


14:38 倶知安町 国道276号線

 さっきは道道478号を行ったが、今度は一つ外側の国道276号をそのまま進む。
北北東から眺める羊蹄山。また違う表情を見せる。

14:45 倶知安町 国道276号線
近くの丘から、ニセコ連峰を望む。
春の光に空気が霞んでいる。
暖かい光が地面から水蒸気をたくさん出させて。
春だ。歓びの春。
連休は農作業が忙しくなることだろう。

14:51 倶知安町 町道から。
国道から北側へ。また脇道にはいる。
丘を越え、道は北へ進む。その丘の縁から、裾野の平野と、羊蹄山を望む。
美しい。

一日。春の羊蹄山を見て走った。
写真ではどれも似た山に写ってしまったかもしれないが、実際の風景の中の羊蹄山は、どれも間違いなく羊蹄山であると同時に、どの角度から見上げても、その土地ならではの、他にない羊蹄山だった。

やがて裾野にはジャガイモやビート、小麦などの作物が、風に葉をそよがせ、美しい緑の大地へと姿を変えていく。
そして羊蹄山は、少しずつ雪の量を減らしながら、とてもおいしく、きれいな水を、湧水として麓に送り続ける。

この地で作られる作物は、本当においしい。
北海道に来て驚くのは、野菜のおいしさだ。

夏の豊かな緑。
秋の刈入れの風景。

季節ごとに訪れたい。

そんな土地が、この羊蹄山ぐるっと一周の道、そして里だ。


14:56 倶知安町 町道から
上の写真から1kmくらいのところ。
坂を登ると、また高台の丘が広がっている。
道端に大きな白樺の木があった。

ゆきかぜを停め、写真を撮った。

8年前から、バイクで北海道の樹を訪ねるツーリングを、切れ切れに続けている。
この白樺は、特に巨木でも老木でもなく、無名の樹だ。
ただ、幹の白さに目を引かれた。
枝の先が黒っぽいのは、春芽が膨らんできているから。

僕の地図の読みが間違っていなければ、ここは倶知安町緑というところのはず。

名付けよう。
「緑の白樺」。

また、会いに来るよ。


15:55 小樽市 国道393 毛無峠
さあ、楽しかったツーリングも終わりが近づいてきた。
国道393号を赤井川に抜け、そこから毛無峠を越えて朝里へ下って行く。

途中、ガードレールの向こうに朝里の街が見え、その向こうに石狩湾の青い海が見えた。
さらに水平線の向こうに、湾の対岸、北石狩の山々が見えている。
左端の方が暑寒別岳の方だろうか。

雪解けの春。
芽吹きの春。

短い北海道の春の中を、走ることができた。
冷たい空気と、暖かい陽射しが、春を実感させてくれた。

そして、今日は何より羊蹄山だった。
その姿、その大きさ、その存在感に、改めて感じ入った。
圧倒される、というのとも違う、いい景色だと感動、というのとも違う。
何とも言い難い、でも、山をながめ、山と正対するのがうれしく、また山を横に見ながら走るのも楽しく、羊蹄山を見に行ったのだが、羊蹄山に遊ばせてもらったような、そんな一日となった。

首の痛みはなんとか大丈夫だった。
腕に違和感は、やはりある。
長時間のライドは、やはりまだ負担になってくるかもしれない。

それでも一日、止まりながら止まりながらでも走れたことが、とてもうれしかった。
今年は走りたい。

もっと、走りたい。
そんな思いが湧いてきてしかたがない帰り道だった。
(「春の羊蹄山を見に行こう。」 完)



4 件のコメント:

  1. いつもスマホのカメラなんで樹生さんの
    ズームテクニックには感心してます♪
    確信をついてくるのが素晴らしい!
    伝えたい事がびしびし来ます。

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    1. いちさん、こんにちは。
      ありがとうございます。
      その場の空気感を、少しでも伝えられたらと、いろいろやってはみるのですが、
      ぜんぜん本物に届いてないなあ…と、がっかりするのがいつものことになり、
      だんだんあきらめて、「写真に写らないものがあるんだ。」と、割り切るようになってきました。
      でも、やっぱり毎回思います。「写ってないじゃないか」
      写真って意識しだすととたんに難しくなりますね。

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  2. 素晴らしい風景ですね。
    V7も景色の中に溶け込み、
    違和感が有りませんね。

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    1. Osawa Nobuoさん、こんにちは。
      私の生まれ故郷秋田には秋田だけの、16年住んだ広島には広島だけの、他には決してない風景があり、
      同じように北海道には、北海道だけの風景があるように思います。
      赤井川村と羊蹄山山麓、洞爺湖周辺は特に僕のお気に入りの場所です。
      山と農の風景が僕は好きなようです。
      V7は、デザインに威圧的なところがなく、都会の中に置いても、こんな自然の中でも、
      主張しすぎず、物怖じもせず、ただ、そこに佇んでいる感じがいいなあ…と自分でも思っています。
      後はオーナーのメタボ腹を何とかして、V7に似合うライダー(体形)にならなくては…。^^;)

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