僕はUターンが苦手です。
昔からそんなに器用ではなかったのですが、GPZ1100に乗り換えてから、さらに苦手になりました。
GPZ1100は、1995年から2013年まで、18年間乗った「相棒」です。
素晴らしい相棒でしたが、装備で270kg、ハンドル切れ角30度、最小回転半径3.0m。おまけに重心が高く、上が重く、力の弱い身長の低い人だと、跨ったままサイドスタンドから車体を起こすことも不可能という、重さがずしっとくるバイクでした。
Uターンを決めるには、車体を傾けてくるっと小回りするのがいいのですが、極低速で不用意に傾けてバランスを崩すと、もう立て直しがきかずに倒れるしかない…という状況にも「多々」なりました。
そこで、歩く程度の速度の時は、車体を直立させてハンドルを切ってUターンする…というふうに、自然になっていったのですが、そうすると今度は長い車体と大きい回転半径がUターンの邪魔になる…と、いったふうで、Uターン苦手、の意識はなかなか取れないのでした。
もちろん、Uターンの本質とは、安全に道の中で180度方向転換をすることなので、左端にいったん停車、直立のままハンドルをフルロック、1速半クラッチで、じりじりと進み、無理だと判断したらクラッチを切ってスイッチバックする、という手法で、ツーリング時には事なきを得ていたのですが、それでももっとささっとUターンを決めたいなあ…という思いは、ずっとあったのです。
練習すれば、実はGPZは低速での深いバンクも安定しているので、Uターンも大概可能なのですが、万一の転倒をしたくないために、上記の方法にどうしてもなってしまうのでした。
広い場所やコースで、空身でUターンするのと、荷物をいっぱい積み、雨の中を何時間も走って来て、路面に砂が浮き、デコボコもあるところでUターンするのとでは、精神的条件が違い過ぎるのでした。
V7に乗るようになってからも、この苦手意識は続いていました。
エンジンガードを装着していないゆきかぜ号は、なるべく転倒させたくない。
すると転倒のリスクを避けようとして、慣性力で安定する速度以上の時にはフルバンクを平気で出来ても、時速10km以下、となると、もうなるべく倒さないようにするGPZ以来の癖が、なかなか抜けないのでした。
それは、一概に悪い癖とは言えず、万一のエンストの際にも転びにくいとか、いろいろメリットもあるのです。
しかし、です。
今シーズンに入ってから以前よりは走りに行ける機会が取れるようになり、ブログに載せようなどと変な色気も持つ僕は、写真を撮るためにUターンする機会が俄然増えてしまったのでした。
V7は最小回転半径は公式に発表していません。
でもハンドル切れ角は十分で、ホイールベースも、1435㎜とゼファー750と同じ程度なので、最小回転半径も2.7mのゼファー750に近いものだと思われました。
普通2車線なら、切り替えしなしで一発でUターンできるサイズなのです。
でも、今までのやり方だと、Uターンできるものの、いつもぎりぎり。
両足をバタバタついてやるのもどうもめんどうだ…と、「サボリの虫」が僕の中でうごめき始めます。
一度極低速でかなり傾けてUターンしてみると、
旋回半径は驚くほど小さくなって道幅に余裕はあるし、低重心のV7は車体を傾けてでもある角度から急に倒れ込もうとすることもなく。安定して扱いやすいのでした。
ああ、これならUターンは楽しくなる。
「春紅葉の日」の後半では、ほとんどシートの角に腰を下ろすくらい車体を傾けたリーンアウトの体勢で、道幅に余裕をもってUターンするようになっていました。
でも、それ以降、いつでもUターンをズバッと決められるようになったかと言えば、さにあらず。
やはり極低速でガバッといきなり倒すのには、身体に沁みついた恐怖心というか、用心というか、精神的障壁がかなり高く居座っているのでした。
それでいいと、僕は思っています。
一足飛びに変革しない。
心にどこかやりたくない…と思っている時には、「何かある」ことが多いのです。
リーンアウトのフルバンクフルロックのUターン、突然滑ったら?路面の荒れにはどう対応できるか?
「臆病な心」は反射能力も落ちてきている中年ライダーには、セイフティーネット。
膨大な自分の経験からくる自分の感覚は、理屈だけで超えることを焦ってはならない。
いろんな路面、いろんな天候、いろんな体調…さまざまな条件の中でリスクを大きくし過ぎないようにして、徐々に試していく、そしてその結果を記憶し、蓄積していく。
そうやって、頭と、心と、身体で、納得しながら、少しずつ、僕とゆきかぜのUターンを作って行こうと思います。
「一足飛びをねらわないこと。」
結果的にある時に技量がジャンプアップすることはあります。しかしそれは、それまでの操作や動きの記憶が体に沁みこみ、頭・心・身体の納得がうまく行く準備が整っていたから。なんにもないところに急にうまくなることは、その「うまくなった」状態での動きに、頭や心が順応していたとしても、身体が納得していないことがあります。
その身体の発する「違和感」は厳に守らねばなりません。
違和感を無視して一足飛びに次のフェーズに行ってしまうと、何かあった時に対応できずに、場合によっては大事故を引き起こすこともあります。
(そういう事例をいくつか聞きました。)
バイクライディングの技術は、必ず「頭・心・身体」の3つがちゃんと怖がらずに納得する状態を確認しながら、かたつむりの歩みのように、ゆっくり向上させていくもの。
それが僕の信念です。
そんな調子だから、もっとトライしていれば身につけられたはずのスーパーテクも、いまだに身につけられないのかもしれませんし、もっともっと速く走れるはずなのに、いまだに中途半端なのかもしれません。
でも、それでOKです。
安全性には本当に気をつけなければなりませんが、別に人にすごいと思ってもらうためにバイクに乗るのでもないし、競技大会で入賞したいわけでない。
せっかく大好きなバイクに乗っているのに、人より優れていると、誰かを見下さないと満足できないような、そんな偏狭さにとらわれたくない。
速さ、強さ、上手さへの憧れもあるし、ちょっとした自負もあるし、速い人、上手い人への嫉妬心も根強くある。
でもそれでOKです。
少しずつ行く。
少しずつ、距離を詰めていく。
相変わらずへたくそな街乗りシフトダウンを向上させ、
小回りUターンを楽しくできるようにする。
少しずつ、少しずつ、進んでいきます。
テーマはいっぱいあり、数年間は飽きることはなさそうです。
ひとまずは、自分の足で「歩くように」バイクに乗る。
返信削除バイクに乗ることが「普段の、普通のように」暮らす。
この先もずっと、CBRさんと一緒に居られたら・・・と思います。
tkjさん、こんにちは。
削除スーパースポーツのCBR1000RRで、12万キロ以上の距離を刻むtkjさん。
毎回走った後はフクピカをするtkjさん。
CBRさんとの旅は、まだまだ続きそうですね。
今年も【→集結←】成功しますことを願っています。
takaです。
返信削除「怖い」と素直に感じる事は、大切ですよね。
それが、身を守り、技術向上につながりますしね。
私は、Uターンは得意でしたが、SRでは上手く出来ません。
並列4気筒と、シングルの特性の違いでしょうが、馴染むと出来るようになると思うので、焦らないことに。
走りに行っても「乗れてない」と感じる時は、ペースを落として走るようにしています。
ただ、SRに乗って半年が経過し、SRが心地良く走るペースも解ってきました。
乗り手がSRのペースを超えると、バイクがヨレたり、ステップやスタンドを擦ったり、SRのブレーキ性能以上のペースになってしまいます。
現行バイクやSSでは余裕のペースでも、SRには「それなり」のペースだったりするんですよねぇ(^_^;)
なので、バイクのカスタムをしてSRを自分のペースに近づけるってな事を考えず、自分がSRに近づこうと思います。
それが、私のテーマかな(*^_^*)
takaさん、こんにちは。
削除SRでUターンが上手く行かなくなるとは…。シングルのスリムさ=Uターンに有利、とは単純に行かず、そこはパラレル4の安定感とか、さまざまなバランスがバイクごとに違い、それに乗り手が慣れていくことも大事なんですね。
心地よい速度もバイクごとに違いますよね。
30年前、XT200に乗る友人に、気持ちよい速度は何キロくらいかと聞いて、「70キロくらいかな」と言われ、
そんなに高いのか、と驚いたことがありました。
てっきり50キロくらいだろうと思っていたのでした。
やはり乗ってみないと、走らせてみないとわからないのがバイクというものらしいです。
樹生さん、
削除こんにちは。
SRで心地良い速度は、平地で65km/h付近かなぁ。
5速でアクセル操作でトルクがついてくるのが、この速度くらいなんです。
エンジン回転で、3000回転ぐらいかな。
シングルなんで、美味しい回転域が狭いんです。
ワインディングで楽しむ走りで、3000~6000回転。流す走りで、~5000回転ぐらい。
3000以下は失速するし、2500以下ではストールしそうになるし(^_^;)
なので、市街地走行では、半クラッチを多用します。意外でしょう?
takaさん、こんにちは。
削除根本健氏が昔ライダースクラブ誌で「シングルは実は有効な回転域が狭く、スパルタン。」と言っていましたが
そうなんですね。
「らいでぃんぐNAVI」でSRを走らせる根本氏はそう飛ばしているわけでもないのですが、とにかくこまめにシフトしていました。
それにしても市街地で半クラ多用ですか。それは知りませんでした。かなり…ですね。